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伊勢・五十鈴塾で能舞台から未来を考える勉強会 麻や伊勢和紙の生産者も

伊勢・五十鈴塾で能舞台から未来を考える勉強会 麻や伊勢和紙の生産者も(撮影=岩咲滋雨)

伊勢・五十鈴塾で能舞台から未来を考える勉強会 麻や伊勢和紙の生産者も(撮影=岩咲滋雨)

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 日本の伝統文化について学ぶ公益財団法人「伊勢文化会議所」(伊勢市宇治浦田)五十鈴塾で2月5日、能舞台から伝統文化の継承について理解を深める講座が始まった。

【その他の画像】伊勢・五十鈴塾で「飛天双〇能」特別講座

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 能楽師大鼓(おおつづみ)方大倉流・重要無形文化財総合指定保持者の大倉正之助さんらが30年前から年1回のペースで12年間続けた能楽奉納プロジェクト「飛天双〇能(ひてんふたわのう)」を昨年1月8日、多賀大社(滋賀県犬上郡)で再開した。第2回を今年、伊勢で開催するのを受けて、伝統文化や能楽についての講座を五十鈴塾で行い、2月7日には神宮会館(伊勢市宇治中之切町)大講堂でシンポジウムを開く。

 初日は、伊勢神宮のお神札(ふだ)に使う伊勢和紙を製造する大豐和紙工業(伊勢市大世古)社長の中北喜亮(なかぎたよしあき)さんと伊勢麻(大麻)を作る農家の谷川原健さんを招き、能楽に使われる道具にも麻が使われていることなどを大倉さんが説明。中北さんは「和紙の原材料となるコウゾやミツマタ、雁皮(ガンピ)の調達が困難になっている。最上最高の伊勢和紙を作るために原材料も国産にこだわらず、より良いものを探して仕入れている」などと説明。谷川原さんは「麻は1万2000年前から使われていた。古来、日本人は麻の種を持って移動し生活していたほどで麻は生活に欠かせないものだった。現在、麻農家は国内に11人だけ。後継者の育成も大切だが、大変な仕事なので覚悟を持った人でないと務まらない」と話す。

 続いて皇学館大学名誉教授の櫻井治男さんによる「神宮と芸能」についての講座があり、伊勢参詣曼荼羅や伊勢参宮名所図会に登場する絵の中の芸能や、伊勢周辺の地域の芸能(散楽、伊勢音頭、古市芝居小屋、歌舞伎、浄瑠璃など)と伊勢神宮と直接に関係する芸能について説明した。

 最後に能楽の「翁」と「高砂」について、能楽師のワキ方下掛宝生流の安田登さんとシテ方観世流の加藤眞悟さんが解説。「高砂」の歌をみんなで歌い物語について分かりやすく説明した。6日は「箙(えびら)」「羽衣」、7日は「三輪」「石橋」についての解説がある。

 大倉さんは「日本の伝統文化について理解を広めようと30年前に実施した『飛天双○能』だったが、ふと、黒の紋付も化学染料、鼓の麻も日本製ではなく半分がナイロンに…。能舞台は伝統文化ではなくなってしまっているのでは?との思いから、このままではいけないと思い、伝統文化で使われる道具についても、ものづくりの視点からも見直し元々の姿を再現しようと、各分野の職人と力を合わせて取り組んでいる。生活文化を見直し、理解者を増やし、日々の営みをそうした意識に目を向けてこれからの未来を作り出していこう。集大成が能」と話す。

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