三重の季刊誌「NAGI(凪) No.96」春号が3月1日、発行された。出版は「月兎舎(げっとしゃ)」(伊勢市馬瀬町)。
同号では、2004(平成16)年に三重県・和歌山県・奈良県にまたがる「紀伊山地の霊場と参詣道」がユネスコ世界文化遺産に登録され今年、20周年を迎えることから「熊野古道伊勢路を歩く」と題して、伊勢神宮内宮(ないくう)から熊野本宮大社(和歌山県田辺市)までの約200キロの伊勢路を特集する。
特集では、取材のため約200キロの道のりを11日間かけ踏破。2万5000分の1の詳細地図に照らしてわかりやすく周辺情報を網羅する。世界遺産となる前の23年前から土に埋もれた古道を掘り起こし続けた「熊野旅の文化企画」(熊野市)の三石学さんの当時のエピソードなどについて6ページを割いた。
三石さんは「異なる宗教の聖地を結ぶ熊野古道を世界中の人たちに歩いてもらうことで、共存・共生の思想と、争うことなく平和的にお互いを認め合い許し合うことを学ぶ場にしてほしい」と思いを込める。
同誌発行人の吉川和之さんは「伊勢神宮に現世利益を祈った旅人が、玉城町の田丸で巡礼装束に着替え、極楽往生と来世の幸福を願って目指した熊野古道・伊勢路(東熊野街道)。かつては『蟻の熊野詣(ありのくまのもうで)』とも称された峠越えの道は、長らく人々の記憶から忘れ去られていた。こけむす石畳道、峠から眺める熊野灘、間近に触れる異郷の暮らし。いにしえの巡礼気分で歩いてみませんか」と呼びかける。
価格は720円。三重県内の書店などで販売している。