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伊勢の写真家・森武史さん、写真集「熊野修験」発刊 20年間の集大成

伊勢の写真家・森武史さん、写真集「熊野修験」発刊 20年間の集大成

伊勢の写真家・森武史さん、写真集「熊野修験」発刊 20年間の集大成

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 伊勢の写真家・森武史さんが9月1日、熊野修験(しゅげん)者と修行をしながら撮り続けた20年間の集大成となる写真集「熊野修験」を月兎舎(伊勢市馬瀬町、TEL 0596-35-0556)から発刊した。

【その他の画像】森武史さんの写真集「熊野修験」

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 1957(昭和32)年、度会郡玉城町生まれで現在62歳の森さんは、1980(昭和55)年に大阪芸術大学写真学科を卒業。1994(平成6)年にフリーカメラマンとして独立し、紀伊半島を中心に撮影を始める。1999(平成11)年に熊野古道写真集「くまのみち」、「熊野古道」がユネスコ世界遺産に登録された2004(平成16)年にDVD熊野写真集「祈り天空に満ちて」、2013(平成25)年に伊勢神宮写真集「神宮の森」などを発刊。2008(平成20)年~2010(平成22)年、パリ・東京・京都・伊勢で「熊野修験」写真展を開いた。熊野の風景などを撮った森さんの写真が2014年版キヤノンカレンダーに採用された。

 森さんは、1872(明治5)年の修験道廃止令によって途絶えてしまった「熊野修験」を復活させようと1988(昭和63)年から取り組んだ「那智山青岸渡寺(せいがんとじ)」(和歌山県東牟婁郡)の副住職・高木亮英(りょうえい)さんとの出会いから20年間、「熊野修験」の修行現場を撮影し続けた。

 写真集は、那智山の滝を巡る「那智四十八滝回峰行」、熊野から奈良県・吉野山を目指す「大峯奥駈(おおみねおくがけ)修行」、和歌山市・紀淡海峡の神島(友ケ島)から奈良県王寺町に至る里から峠を越えて里へ抜ける「葛城二十八宿修行」を同行して撮影した123カットを収める。巻末には高木さんの熊野修験再興33周年への思いのほか、「総本山金峯山寺(きんぷせんじ)」(奈良県吉野郡吉野町)管長の五條良知さん、熊野修験先達の花井淳也さん、新宮山彦ぐるーぷの山上晧一郎さんからのメッセージを添えた。

 森さんは「撮影の仕事で高木副住職と出会い、修行に同行して撮影させていただきたいとお願いしたところ、快諾いただいたのが始まり。同行しての撮影はとても厳しくつらいものだった。最初は迷惑をかけてはいけないと遠くから撮影していたが、高木副住職から『君も撮影するという修行なのだから遠慮せずどんどん撮りなさい』と言っていただき、真正面からや至近距離からも撮影させていただけることになった。高木副住職の再興に懸ける思い、山上さんら『新宮山彦ぐるーぷ』による山林整備の取り組みを、ファインダーを通して伝えたいと強く思った」と話す。

 現在、同写真集に収めた写真70点を展示する「再興三十三周年記念写真展・熊野修験」を「世界遺産熊野本宮館」(和歌山県田辺市本宮町)で9月30日まで開催中。森さんは「長さ約5メートルの伊勢和紙にプリントしたパノラマ写真や近年ドローンで撮影した熊野の大自然の写真などを大きく引き伸ばした。山伏の皆さんの自然に対する思いを感じ取ってもらえれば」と呼び掛ける。

 同写真集はB5横長判並製140ページ(カラー120ページ、モノクロ20ページ)。価格は2,750円。県内の書店やネットにて購入できるほか、写真展の開催期間中は、世界遺産熊野本宮館内の熊野本宮観光協会でも取り扱う。

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