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伊勢で「三千年の未来会議」 伊勢神宮の循環システムを学ぶ

伊勢で「三千年の未来会議」 伊勢神宮の循環システムを学ぶ(撮影=岩咲滋雨)

伊勢で「三千年の未来会議」 伊勢神宮の循環システムを学ぶ(撮影=岩咲滋雨)

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 一般財団法人「三千年の未来会議」が主催する伊勢セミナー「生命の源泉~伊勢神宮の循環システム」が7月17日、皇學館大学(伊勢市神田久志本町)記念講堂で行われた。

【その他の画像】「三千年の未来会議」伊勢セミナーの様子

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 同法人は、「1000年先の未来の地球環境を守るため、日本の科学技術の経験と知見を生かし世界に発信する」ことを目的に昨年8月に設立。地球環境の保全・改善に関するセミナーの開催などを行っている。

 当日は、映画監督の北野武さんや建築家の隈研吾さんら12人の著名人や有識者のインタビューを通して、日本人と森との関わり、森(自然)の大切さ、伊勢神宮の存在について伝えた2015(平成27)年公開の映画「うみやまあひだ 伊勢神宮の森から響くメッセージ」を上映。

 その後、同作にも出演する宮大工で「鵤(いかるが)工舎」(栃木県塩谷町)総棟梁の小川三夫さんや東京農業大学名誉教授の進士五十八さん、自然史映像作家の伊藤弥寿彦さんが講演。伊勢神宮の神職で神宮司庁参事の吉川竜実さん、同法人代表理事の中井徳太郎さん、コーディネーターとしてジャーナリストの葛城奈海さんの3人が加わり、パネルディスカッションを行った。

 小川さんは現存する世界最古の木造建造物の法隆寺と20年ごとに建て替えている伊勢神宮を対比しながら「先人たちは今のような正確な図面も精度のいい道具もない時代に、奈良の都まで作り上げた。始まりは知恵で、言葉にしたものが知識。知恵と技がなければ東大寺は建たない。古代の建築物は知恵の塊」と説明。進士さんは「樹木信仰、樹木崇拝は当たり前だった。明治神宮は環境問題のシンボル。オオタカがすむ森に成長した。木の循環、生態系ができている。森があって、水があって、その水で生活している。人と森、水、木そして農の全てに感謝を」と訴えた。伊藤さんは伊勢神宮の宮域林に入って撮影した時に出合った生物や植物について、神宮の森で牧野富太郎さんが国内で初めてトキワマンサクを発見したことなどを紹介した。

 パネルディスカッションでは、日本神話の「山幸彦海幸彦」で道具を交換する話から山の繁栄が海の繁栄につながっていること、鉄の精製が道具を進化させたことなどを話し合った。

 中井さんは「次の式年遷宮に向けて、伊勢神宮の循環システムを世界に紹介することこそ、地球環境にとって大切なことだと、改めて伊勢に来て学んだ。今後も伊勢でのセミナーを続けていきたい。1000年先の未来を考えるきっかけになれば」と話す。

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