日本の伝統文化について学ぶNPO法人「五十鈴塾」(伊勢市宇治浦田)が9月20日、30年前におかげ横丁の「来る福招き猫まつり」を仕掛けた中西与志嗣さんに招き猫の魅力についての講座を行った。
【その他の画像】おかげ横丁を猫だらけにした張本人=中西与志嗣さん
「おかげ横丁」一帯では現在、9月14日から29日までの期間、全国から招き猫1万体以上を集めた「来る福招き猫まつり」が開かれている。今年で30回目を迎え、多くの観光客で賑わっている。9月29日を縁起良く「来る福(くるふく)」と読めることから招き猫の愛好家団体「日本招猫倶楽部」が1995(平成7)年に「招き猫の記念日」を制定。第1回の「来る福招き猫まつり」がその年に初めて開かれた。
中西さんは、赤福(宇治中之切町)に入社。1993(平成5)年の第61回式年遷宮に合わせて完成を目指した「おかげ横丁」の立ち上げに参画。その後「おかげ横丁」の運営会社・伊勢福(同)に出向し、全国の工芸品などを目利きし取り扱う担当者に。さまざまな企画やイベントを成功させ、今のおかげ横丁の礎を築いた。
講座ではおかげ横丁立ち上げ時の苦労話などを交えながら、「来る福招き猫まつり」が日本で最初の大規模な招き猫イベントとして成功したこと。その後、全国に招き猫まつりが開催され波及するようになったことなどを話した。
中西さんは「30年前は景気が悪くイベントをするような状況ではなかったが、第1回目の祭は大成功となった。みんな招き猫のご利益にあやかりたいという思いで、お土産に自分以外の人に福のおすそ分けをしようと買い求める人が多買ったのでは。当時は、招き猫に羽が生えたように飛ぶように売れた。急きょ、常滑の招き猫を作る梅月富本人形園まで車を走らせ招き猫をもらいに行った」と振り返る。
五十鈴塾の橋爪貴子さんは「横丁内の店舗には招き猫作家のもりわじんさんが手掛けた招き猫が常時、客を待つ状態になっている。中西さんはおかげ横丁を猫だらけにした張本人」と話す。
中西さんは「招き猫との出会いは突然やってくる。目と目が合った瞬間に、その存在が『それ』から『この子』に変わる。開催中の『来る福招き猫まつり』に行ってもらい、その子と目と目が合ったら、ぜひとも家に連れて帰ってほしい」とも。