新嘗祭(にいなめさい)に合わせて「おかげ横丁」(伊勢市宇治中之切町)で11月23日、県内26蔵、県外28蔵の日本酒を飲み比べできる「新酒祭」が行われ、約1000人が新酒の味わいを楽しんだ。
今年で4回目を迎えた新酒祭は、その年の秋の収穫に感謝して11月23日の新嘗祭に合わせて伊勢神宮に新酒を奉納し、その直会(なおらい)の宴として「おかげ横丁」一帯を使って行われている。15時に、おかげ横丁の中心にある太鼓櫓(やぐら)で式典が始まり、県内外から伊勢に集結した蔵元を紹介し、鏡開きで宴がスタートした。日本酒を提供するブースでは開始早々、チケット購入客に渡されたおちょこに日本酒が注がれ、次々と一升瓶が空になっていった。
太鼓櫓では、伊賀焼きの「土楽窯(どらくがま)」(伊賀市)7代目陶工の福森雅武さんと「而今(じこん)」銘柄で知られる「木屋正(きやしょう)酒造」(名張市)6代目の大西唯克さんの特別対談も行われ、参加者は「而今」を飲みながら2人の話に聞き入っていた。福森さんが「すき焼きには少しの塩と料理酒代わりに而今を入れるだけで最高の料理になる」と説明すると、実際に伊賀牛を自身が焼いた土鍋で実践し参加者に振る舞った。大西さんは「最初、而今を料理酒にするのか…と思ったが、福森さんの話と実際に食べてみて納得し、今ではその料理法は『あり』だと思えるようになった」と心の内を明かした。
三重県酒造組合会長を務める清水清三郎商店(鈴鹿市)の清水慎一郎さんは「アルコール飲料全体における清酒の消費量はわずか6%。最も多いのはチューハイなどのリキュール。海外での日本酒人気はあるが数字を見るとまだまだ。国内でもっと飲んでもらえるようになってほしい。このような新酒祭で日本酒を盛り上げていただけることはとてもありがたい。われわれもいいお酒を造っていくので、もっと日本人に日本酒を飲んでもらいたい」と話す。