
6月21日の夏至の日に、伊勢・二見興玉神社(伊勢市二見町)で夫婦岩(めおといわ)前の海に入って汚れをはらう「夏至祭」が行われた。
この日の同地の日の出時刻は約4時40分。辺りが薄らと明るくなり始め、空の様子が確認できるようになると水平線の上に厚い雲があった。時間の経過と共に次第に雲が小さくなり、日の出時刻には雲の切れ間から赤く光る太陽が顔を出した。ふんどし姿の男性と白装束姿の女性214人は、「興玉」と書かれた鉢巻きを頭に結び、ご来光に向かって国歌を歌い、膝や腰まで海水に浸かりみそぎを体験した。
夫婦岩の間から朝日が出るのは5月から7月の期間で特に夏至前後には直線距離で200キロ以上離れる富士山と朝日が重なって現れる。この日の日の出時刻直後のご来光は雲の隙間からだったが、富士山の稜線もなんとなく認識できる程度に見ることができた。雲に覆われていた太陽は次第に丸く大きくなると同時に水面にオレンジ色に染まる太陽の光の道がくっきりと現れた。昨年の夏至祭は雨だったため、朝日も富士山も見ることはできなかった。
愛知県から初めて参加した女性は「この2、3日とても暑く太陽エネルギーの強さを感じていたが、海の中で待っていると太陽の光がこれほどまでにありがたいものなのかと実感した。参加してとてもすがすがしい気持ちになった」と話す。
同神社金子清郎宮司は「神様は感じるもの。みなさんが感じられるようになるのは心身ともに清らかで毎日爽やかな気持ちでいること。みそぎを終えられた後の皆さんの顔を拝見するととても爽やかで気持ちがいい。とてもいい日になったと思う」とあいさつした。
夏至の日前後の朝日は、鹿島神宮(茨城県)、皇居、明治神宮(東京都)、富士山(静岡県)、豊川稲荷(愛知県)、二見興玉神社・夫婦岩、朝熊岳、伊勢神宮(伊勢市)、高野山(和歌山県)、高千穂(宮崎県)を一直線に結ぶ太陽の道「レイライン」が完成する。二見興玉神社の夫婦岩から昇った朝日が、福岡県の桜井二見ヶ浦に浮かぶ櫻井神社(糸島市)の夫婦岩に沈む。