
全国の花火師が伊勢に集い、伊勢神宮へ奉納する花火を打ち上げ、競技し合う「伊勢神宮奉納全国花火大会」が7月19日、伊勢市の宮川の河畔で行われた。
国土交通大臣賞受賞スターマインの部アルプス煙火工業「色のない世界で」
「全国花火競技大会 大曲の花火」(秋田県)、「土浦全国花火競技大会」(茨城県)、最も歴史のある「長岡まつり花火大会」(新潟県)の3大会を「日本三大花火大会」と呼ぶのに対して、大曲、土浦のほか、長岡に代わって「伊勢神宮奉納全国花火大会」を加えた3大会を「日本三大競技花火大会」と呼ぶ。
第59回神宮式年遷宮を記念して1953(昭和28)年から始まり、今年で73回目を迎えた。歴史は、式年遷宮を奉祝する花火大会が明治時代から繰り返し行われ、前身であるそれらの大会を含めると120年を超える。全国から花火師が集まり伊勢神宮に花火を奉納する唯一無二の大会で、全国でも比較的早い時期に開催されることから、花火師にとっても1年の安全祈願の場となっている。4月26日には大阪・関西万博の催事「Japan Fireworks Expo」に「伊勢神宮奉納全国花火大会」として昨年の大会で上位入賞した花火師たちの作品を披露した。
競技は、「打ち上げ花火の部」と「スターマインの部」で構成。打ち上げ花火の部では、花火師1人あたり10号玉(直径約30センチ)曲導付割物1発と5号玉(直径約15センチ)創造花火3発の計4発で競技を行い、色彩、配色、技術などを、スターマインの部では、参加花火師が自ら設定したテーマに沿った花火を限られた時間内で表現、玉数、制限時間、色彩、配色、打ち上げのリズムなどをそれぞれ審査する。今大会では打ち上げ花火の部には37人、スターマインの部には10人が参加した。
観光有料道路「伊勢志摩スカイライン」を運営する三重県観光開発(津市)は近年、広域伊勢志摩圏内最高峰の標高555メートルの朝熊(あさま)山から花火を鑑賞しようと呼び掛け、通常より約3時間閉門時間を延長している。一宇田展望台(駐車台数80台)と朝熊山頂展望台(同200台)には大勢の人が宮川周辺の人混みを避け、天空から見下ろす花火を楽しんでいた。7月25日には「鳥羽みなとまつり」の花火大会が鳥羽側から鑑賞できる。
一宇田展望台から鑑賞していた子ども連れの家族は「わぁ」「きれい」と歓声を上げていた。当日は、伊勢市制施行20周年記念のスターマインも伊勢の夜空に上がった。
スターマインの部国土交通大臣賞は、アルプス煙火工業(長野県、花火師=堀内守さん)打ち上げ花火の部観光庁長官賞は、伊那火工堀内煙火店(長野県、同=那須野大さん)が受賞。1位から3位までの受賞者は以下の通り。
打ち上げ花火の部、優勝は伊那火工堀内煙火店(長野県、同=那須野大さん)、準優勝は髙城煙火店(千葉県、同=髙城勇さん)、3等は、マルゴー(山梨県、同=齊木智さん)。スターマインの部、優勝はアルプス煙火工業(長野県、花火師=堀内守さん)、準優勝はマルゴー(山梨県、同=齊木智さん)、3等は伊那火工堀内煙火店(長野県、同=那須野大さん)。