志摩観光ホテル(志摩市阿児町神明、TEL 0599-43-1211)の名物フレンチを作り続けてきた「ラ・メール」の厨房が、「オール電化」に変身した。全室スイートルームの高級リゾートホテルとして10月10日にグランドオープンした同ホテル「ベイスイート」のレストラン厨房の中も、20日が経過しスムーズな動きになった。
1951年(昭和26年)開業の同ホテルは、高橋忠之総料理長オリジナルのフレンチ「海の幸フランス料理」が有名で、皇室をはじめ世界中の美食家たちがその料理を食べるためだけに訪れる。「ベイスイート」完成までは、通常の「ガス」で火加減を調整し「黒アワビのステーキ」や「伊勢海老のクリームスープ」などを作り続けてきた。
「ベイスイート」の新たな厨房では、IHクッキングヒーターを採用するなどすべて電化厨房に変身し、「ガス」による調理器具が一切姿を消した。「ベイスイート」全館でも、1階ロビーの演出用ガス暖炉を除いて「オール電化」に。空気を圧縮し熱源に変える技術で現在最もエネルギー効率が高い「ヒートポンプ式」による空調機と給湯器を導入、深夜電力を利用し燃料コスト・運営コスト的にも、また省エネ、CO2削減にも効果が高いという。
同ホテル6代目総料理長の宮崎英男さんは「電化厨房になり、一番心配したのは今までと同じように料理を提供することができるか?ただそれだけだった。大阪の導入済みホテル視察、テストキッチンでの調理、さらに約2カ月間機器をレンタルした後、導入に踏み切った。慣れるまではたいへんだったが、慣れてしまえばメリットの方が大きい」と打ち明ける。同ホテル施設管理マネージャーの小林さんも「施設管理の上でも『ガス』に関して管理しなくてよくなった分、楽になった。国立公園内に新たに建設されるホテルという意識をもって、『電化厨房』以外でも最大限に環境に配慮した」と説明する。
中部電力(愛知県名古屋市)によると、2006年を基準とし2010年までに業務用電化厨房などの導入促進し、1カ月あたりの契約電力を全体で80万キロワットまで増やしたいとしている(2008年9月時点で34万キロワットまで増加)。