約1,000キロ離れた小笠原・父島から三重県・志摩市に寄り道中だった「アオウミガメ」の子どもが10月10日、再び海に戻った。
今年7月21日、同市・大王崎沖約5マイル付近で、海上で捨てられたロープに絡まっている「アオウミガメ」を同市安乗の漁船「片山丸(船長=片山勇さん)」が見つけ救助。その後、水族館・志摩マリンランド(同市阿児町神明、TEL 0599-43-1225)で保護飼育していた。
アオウミガメの足にタグがついており、確認すると東京都小笠原村父島の「小笠原海洋センター」で付けたもので、2006年3月25日に小笠原小学校の5年生らがウミガメ学習の一環で放流した19尾のうちの1尾だということが判明。志摩市への「寄り道」に同市関係者はもちろん、小笠原小学校の当時の子どもたちや同海洋センターの職員も驚いていたという。
保護直後は食欲がなく心配したが、同水族館の手厚い世話で、体重も1.4キロ増加し元気になったため新たなタグを付け、安乗保育所の児童56人らに見送られ海に戻っていった。小笠原放流時から保護直後、今回放流前までのウミガメの大きさは甲長=25.2センチから37.5センチ、40センチに、甲幅=19.7センチから30.3センチ、32.6センチに、体重=2.42キロから8.29キロ、9.7キロに成長。
保護飼育中、プラスチック糸の塊やポリ袋の破片、輪ゴムなど、人間が捨てたものを誤って食べた形跡が排泄物から出てきた。同水族館の大久保館長は「海の汚れやゴミがウミガメたちの生命を脅かしていることを物語っている」と訴えた。「無事生まれ故郷の小笠原に戻ってほしい」とも。