シカやイノシシを本格フレンチで「ジビエ料理」に-奥伊勢フォレストピア

奥伊勢フォレストピア宮川山荘のメーンダイニング「レストラン アンジュ」で提供する本格フレンチ「宮川鹿肉のロティ」。

奥伊勢フォレストピア宮川山荘のメーンダイニング「レストラン アンジュ」で提供する本格フレンチ「宮川鹿肉のロティ」。

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 「庭に作ったハーブをシカに食べられた。一度食べて味を占めたからか?よく遊びに来る(笑)。子どものころはイノシシはいたが、シカはめったに見なかった。それだけたくさんシカがいるのだろう」と地元旧宮川村出身で奥伊勢フォレストピア宮川山荘(多気郡大台町薗)支配人の野瀬誠さんは複雑な心境で話す。

奥伊勢フォレストピア宮川山荘の本格フレンチ「宮川鹿肉のテリーヌ」

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 三重県の大台町や大紀町、南伊勢町など広域伊勢志摩圏内の中山間地域でも、シカやイノシシ、サルなどによる農作物や森林の被害が深刻化している。最近では個体数削減に伴い、シカやイノシシの肉を使った料理の開発も積極的に行われるようになった。

 同ホテルのメーンダイニング「レストラン アンジュ」では、「ジビエ料理」としてシカやイノシシの肉を本格フレンチで提供している。特にシカ肉については「宮川鹿」としてブランド化し、「鹿肉のカルパッチョ」「鹿肉のテリーヌ」「鹿ロースのオーブン焼き」「鹿肉のロティ」など豊富なメニューを用意する(要予約)。

 約30年間フレンチシェフとして包丁を握る野呂泰司さんは「シカやイノシシの肉は下処理が肝心だが、信頼のおける地元の猟師さんと契約しているのでいつでも新鮮でいいものが届く。シカ肉の料理は油分が少ないので低温で熱を加えじっくりと時間をかけ調理することが大事。3月いっぱいまでがジビエ料理の旬なので、この機会に試してもらえれば」と来店を呼びかける。

 「今年からコース料理を召し上がる方に、『宮川鹿入荷』などと書いたボードでジビエ料理をお勧めするようにしたところ、ジビエに対してあまり良くない先入観を持つ人でも『じゃあ』と試していただけるようになってご満足いただいている。食べていただければご理解いただける」と野瀬さん。

 同店では、「コート・デュローネ」「ドメーヌ・レ・ロケ」などシカ肉に合うワインをソムリエが提案したりしながら、本格フレンチで本来の肉のおいしさを知ってもらおうと積極的に「ジビエ料理」にも取り組んでいる。

 「道の駅 奥伊勢おおだい」(佐原)では3月14日、「おおだいご当地バーガー100人の大試食会」を開き、シカ肉を使用したバーガーを披露した。試食会の評価結果を基に、5月の販売開始を目指している。獣害対策と特産品開発などの側面を持つ「ジビエ」で地域が盛り上がろうとしている。

 全国の野生鳥獣類による2008年度の農作物被害状況は総額約199億円、うちシカが約58億円、イノシシが約54億円、サルが約15億円となっている(農林水産省調べ)。シカの被害は2003年度までは減少傾向だったが、この5年は増加傾向にある。暖冬などの影響で越冬できる自然環境になったことや、猟師らの減少と高齢化によりハンティングの機会減少などが、個体数が減らない原因と推測する。

 鳥獣害対策は、2008年2月21日に施行された「有害鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」と、鳥獣の保護と狩猟の適正化を図ることを前提に、生物多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の発展を目的に制定された「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」に基づき対策がとられている。

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