NPO法人志摩ネットサポート(志摩市志摩町片田)が取り組む環境リサイクル事業「海から産する廃棄物の堆肥化」が軌道に乗り出した。
完成前、熟成中の堆肥「海の彩」と給食を再利用して作った堆肥「飯菜」
主な原材料は、伊勢志摩の地場産業でもある真珠養殖業から出るアコヤ貝の殻、魚の加工工場から出る魚のアラ、台風や高波で浜辺に打ち寄せる海藻。
これまで廃棄・焼却処分されていた志摩の海であがったゴミや「やっかいもの」扱いされていたものばかりを利用し、肥料「海の彩(いろどり)」が製品として完成した。2007年の秋から試作を繰り返し、2008年4月から製品として販売に乗り出した。
アコヤ貝の貝殻は高温で焼き焼成カルシウムにし粉末化、魚のアラは細かく砕いた後22時間乾燥、海藻も天日で干し乾燥させたものを粉砕する。それぞれを攪拌(かくはん)しEM(有用微生物群)ぼかしを混ぜ約2カ月熟成させてからパッケージングする。肥料成分は窒素3.25%、リン3.87%、カリ1.14%、カルシウム10.20%、マグネシウム1.03%、水分3.11%、塩分0.51%。月産80袋。
同NPOの山本さんは「当初、魚のにおいがきついのでどうにかしてほしい――猫やカラスが肥料の袋を開けて食べてしまう――などの意見があったが改良を重ね、臭いをなくした。ここまでたどり着くまでにいろいろと苦労もあったが、みんなで試行錯誤を繰り返して納得のいく製品になった」と自信をみせる。
「製品にするまでに約2カ月かけ、どの材料もゴミとは思わず丁寧に加工している。特に魚のアラや海藻が発酵しアミノ酸化していることが野菜の味をおいしくしていると思う。肥料成分のバランスがいいのでほかの肥料を使わなくてもこの肥料だけで十分。野菜作りの初心者にも簡単」(山本さん)とPRする。
価格は5キロ袋1,000円。同NPOで直接注文を受け付けるほか、インターネットでも販売する。