志摩市志摩町片田出身の洋画家「平賀亀祐(かめすけ)」画伯の記念館と美術ギャラリーが4月24日、旧大王町役場(大王町波切)にオープンした。
1889年生まれの平賀画伯は、絵の勉強のため1906年に三重県移民として渡米、苦学の末1925年に渡仏する。1926年、当時最も権威のあるフランスの官展「ル・サロン」に「扇を持てる婦人」(現在神宮徴古館所蔵)を出品し初入選を飾る。パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラック、アンドレ・ドラン、藤田嗣治らと交友関係があった。アメデオ・モディリアーニの作品「赤い首巻のマリー」は画伯の妻マリーを描いたもの。フランスでは高い評価を得て「カメスキー・ヒラガ」と称されていた。「ル・サロン」において1934年に銅賞、1938年に銀賞、1954年「古い巴里の街角」が日本人として初めて金賞とコロー賞(風景画部門の金賞1位)を受賞。同年フランス政府より日本人画家として初めて芸術文化勲章を贈られる。1955年に帰国し、1970年自叙伝「一本の釘」を発刊するも、1971年「平賀美術館」建設を胸に抱きながら、フランスパリの自宅にて永眠する。
同記念館は、画伯の画業で成功をする――という決意を一本の釘に例えつづった自叙伝を基に、画材道具やトランクなど思い出の品と作品8点が展示されている。遺品と作品3点は、画伯の遺族から寄贈された。
同23日にあった開館式典には、画伯の遺族で四男の妻平賀菊栄さんと孫の安利さんも出席した。大口秀和志摩市長は「平賀画伯の『一本の釘』精神を後世に伝え、市民のみならず多くの人に伝えたい。ただひたすら一本の釘(目標)を打ち続けることの大切さを学びたい」と話す。
菊栄さんは「平賀亀祐はフランスにいても日本人としての誇りを持ち、常に故郷を思い、絵を描いていた。コルシカの岸壁を描いても志摩の海岸と酷似して見えるのはそのためかもしれない。日本人平賀の生き様を感じ取っていただければ」「記念館を作っていただいたことは遺族としても誇り。大口市長はじめ多くの皆さんに感謝する。これからもできる限り支援させていただきたい」とお礼を述べた。
同時オープンの「志摩市絵かきの町・大王 美術ギャラリー」は同館2階。ギャラリーでは、絵画コンクール「大王大賞展」優秀作品など21点が展示されている。
開館時間は9時~17時、火曜休館。観覧料は大人=200円、高校生・大学生=100円、中学生以下=無料。