三重県立水産高校(志摩市志摩町)水産製造・増殖科の生徒15人と志摩の郷土料理を研究する志摩いそぶえ会(同)、志摩市商工会(阿児町)が9月12日、協働でサバの缶詰作りに挑戦した。
「地域力活用新事業∞(むげんだい)全国展開プロジェクト」の一環で、同商工会が同校と同会に協力を呼び掛けて進めている同事業。志摩市で揚がるゴマサバやマサバなどを「志摩いつきさば」としてブランド化し付加価値を付けて商品化しようとするもの。今回はさらに、志摩観光ホテル(阿児町)で42年間洋食シェフとして活躍してきた高木順さんが味付けなどの監修を行う。
この日は、8月末に安乗漁港で水揚げされた1匹約600グラムの大きさのゴマサバ約100匹を使い、高校生と同会メンバーらが高木さんの指導の下、「マスタードソース煮」「トマトソース煮」の2種類のサバ料理を作り缶詰にした。
同商工会の小河孝さんは「『志摩いつきさば』のネーミングは、回遊せずに志摩の海に居ついているサバのことをいい、回遊するサバに比べ食中毒の原因になる寄生虫のアニサキスがほとんどつきにくいなどの特性があるにもかかわらず、ほとんど知られていない」と説明する。
「この地域では、アジやサバもよく水揚げされるが、それを新鮮なまますぐに加工する施設がないため、加工品がほとんど生まれてこなかった。しかしながらこの地には水産高校があり人材育成面では恵まれた環境にある。地域のポテンシャルを生かせるヒット商品を開発し、産業クラスターの形成ができないか――現在いろいろとチャレンジしているところ。志摩の地から新たな商品が生まれることに期待してほしい」と意欲を見せる。
加工した2種類のサバの缶詰は、熟成させた上で試食を繰り返し、来年以降の商品化を目指す。