志摩の郷土料理の研究や食を通したまちづくりなどを行う女将(おかみ)の会「志摩いそぶえ会」(志摩市志摩町)が4月7日、和具漁港の一角に200席のテーブルを設置し、青空の下みんなで伊勢エビやサザエなどを食べるイベント「いっしょに食べよう。志摩」を開催した。
志摩いそぶえ会主催の「いっしょに食べよう。志摩」伊勢エビも豪快に
同会を率いるのは、今年2月に70歳の誕生日を迎えた伊藤泰子会長。稼業の旅館「和洲閣」(同)を営みながら、年々地域が荒(すさ)んでいくことを憂い、「なんとかせねば」と自分たちにできることから始めようと活動を開始。「食」をテーマに地域に伝わる「郷土料理」を調査・研究すると共に、その普及と後世への伝承が主な活動。会員29人、平均年齢65歳。
同イベント開催のきっかけを伊藤会長は、「『食』は『テーブル』を囲み、『人と人』をつないで『和(わ・なごみ)』を作る。『和』は『笑顔』と共に『輪』を作り、やがて『環』となって、地域全体が笑顔あふれ、『絆』を結ぶ。だからたくさんの人が同時に同じテーブルでおいしいものを食べることが大切だと思って、前々からやってみたいと思っていた」と話す。
同イベントには、100人以上の地元ボランティアも参加。漁師や海女たちも率先して協力した。伊藤会長は「さらに『奇跡』と思えるような偶然も重なった」と打ち明ける。「イベントの前日に、8000本以上の天然ブリが地元で水揚げされ、にわかにまちが活気づいた。そのブリを当日にもてなすことができた。前日、大きな虹が準備中の会場の前に現れた。そして、当日快晴になった。もしかしたら一つ一つは小さなことかもしれないけれど、この日が来るまで心配で悪いことばかり考え、(成功するように)お祈りを続けてきた。だから『奇跡』と思えて、すべてに感謝した」と感無量。
この日は、定員の200人をオーバーし204人が伊勢エビやサザエ、郷土料理の「手こねずし」などに舌鼓を打った。大口秀和志摩市長も参加者の前で自ら包丁を握り、新鮮な地元産のブリを手際よくさばき、会場を盛り上げた。伊藤会長は「みなさんの笑顔を見て、大成功だったと確信した。来年もぜひ開催したい」と意欲をみせる。
当日は、以前から伊藤会長を取材するテレビ番組「Table of Dream 夢の食卓」(BSフジ)の撮影もあり、この日の模様が4月28日(22時30分~)に放映、5月3日からYahoo!のインターネット動画配信サービス「GyaO!(ギャオ)」でもアップされる予定。