東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県山田町の山田八幡大神楽保存会のメンバーら45人が11月4日、伊勢神宮内宮(ないくう)参集殿の奉納舞台で八幡大神楽を奉納した。
八幡大神楽は、約150年の歴史を持つ山田八幡宮(同)に伝わる伝統芸能で、津波で流出した大杉神社(同)と合わせて行う「山田祭」を盛り上げるためにも欠かせない。
祭りに使うみこしや神楽の道具など全てが流出し、一時は祭りの再開も危ぶまれたが今年9月、多くの人の支援を受けてみこしを復元。同祭も今年盛大に執り行うことができ、八幡大神楽が花を添えた。
震災後、伊勢市の旧町(山田)との縁から、伊勢市は同町へボランティアを派遣し、支援物資などを送った。その後も皇学館大学(伊勢市神田久志本町)の教員や学生、卒業生らで作る「山田のご縁プロジェクト」メンバーらが、伊勢市内のイベントで同町の特産品を販売するなど継続的な支援を行い、交流を深めている。今回の奉納は同プロジェクトの呼び掛けで実現した。
同保存会会長の佐藤吉孝さんは「今年『山田祭』が盛大に開催することができた。流出したみこしも新しくなり町を練り歩き活気も戻った。でも、昔のように練り歩く町はまだ無い。これまでご支援いただいた皆さまへの感謝の思いと、復興への願いを込めて奉納させていただいた。震災のおかげでこうして伊勢の方々とつながることができたのだと思い、このご縁をこれからも大切にしていきたい」と話す。