春季特別展「春らんまん 金魚ワールド」を開催中の志摩マリンランド(志摩市阿児町神明、TEL 0599-43-1225)で4月5日、全長25センチ、体重360グラムの巨大金魚(ワキン)が発見された。
【その他の画像】ピラルクーから逃げ延びた金魚が見つかった濾過槽は真っ暗
巨大金魚が見つかったのは、南米に生息する肉食で「世界最大の淡水魚」といわれるピラルクーの水槽のろ過槽。ろ過槽は地下にあり、普段は光が全く届かない暗闇。ろ過槽を清掃していた飼育員が、何か大きい生物が動いているのを発見し網ですくったという。
本来赤色をしているが見つかった金魚は、暗闇の中で過ごしていたため色素が薄く白っぽいが、外傷はなく目も口もヒレも美しく整った形をしている。
同館の里中知之館長は「かつてピラルクーのエサに生きた金魚を与えていたことがあったので、その時に逃れて排水口から落ちたのだろう。これまで何度も清掃していたのに…。逆算すると7~10年はたっていると思うので暗闇の中で孤独だったろう。ちょうど金魚を特集している特別展の開催中に見つかるとは何か意味深」と話す。
ランチュウを飼育し34年の実績を持ち、広域伊勢志摩圏内のランチュウ愛好家たちのグループ「志摩紅鱗(こうりん)会」の会長を務める小河孝さんは「金魚は環境さえ良ければ20年以上生きる。中には40年以上生きているものもいる。恐らくピラルクーの水槽のろ過槽だから温かい水温ときれいな水と、適度なエサが流れてくることが幸いしたのだろう」と推察する。「エサにされたワキンは、いきなり大きな体のピラルクーを見てびっくりして怖くて逃げたのだろう(笑)。これまで暗闇の中で一人寂しくともぬくぬくと温室で生き延びた。ここまで大きく育って助かって良かった」と親しみを込める。
同館は、昨年5月31日に畳2畳分の大きさに成長し飼育記録世界一を更新していた「ホシエイ」が、その3日後の6月3日に背中に寿の文字が入った「寿カンパチ」が共に息絶え2大スター「看板魚」を失った。ホシエイは、入館1986(昭和61)年5月15日から28年16日(1万243日)の世界一の飼育記録を残した(全長276センチ、体長177センチ、体重240キロ)。
教科書にも登場する井伏鱒二の短編小説「山椒魚」では、体が大きくなって穴から出られなくなったサンショウウオの物語だが、同館の金魚は大きくなったことが幸いし見つかった。里中館長は「ピラルクーから逃げ延びた金魚が幸運の女神となって光が当たって『看板魚』になってくれれば」と期待する。
開館時間は9時~17時(7・8月は17時30分まで)。入館料は、大人=1,300円、中高生=800円、小学生=600円、幼児(4歳以上)=300円。春季特別展は5月31日まで。