伊勢志摩サミットが開催される賢島に唯一ある学校「代々木高等学校」(志摩市阿児町、TEL 0599-43-6177)の10回目の卒業式が3月12日、同校1階ホールで行われた。
同校は、志摩市の「伊勢志摩インターネット高校特区」制度を利用してできた通信制高校で、地域の不登校の生徒や高校を中途退学したがもう一度勉強したいという人、プロスポーツ選手を目指し試合や海外遠征などで全日制高校の修学が困難な生徒らを受け入れている。
東京、名古屋、大阪に本部を置き、全国40以上のサテライト校のほかオーストラリアやカナダなど海外でも日本の高校に通える環境を提供する同校。今年度卒業する生徒は全国で234人。賢島本校と伊勢中川・津のサテライト校など三重県内の卒業生は45人。
卒業生は、3年生の総合学習の授業で伊勢志摩の地場産業である真珠養殖業について学んだ際に作った真珠のアクセサリーを着けて入場した。
同校の一色真司学校長は「今年は伊勢志摩サミットがこの賢島で開催され、また当校10回目の卒業式という大きな節目に卒業できることは素晴らしいこと。能力の適性よりも好きややり甲斐が重要。限界は誰でもなく自分が決めている。自分に自信を持って自分を大切にして自分らしい人生を送ってほしい」とあいさつした。
現在38歳の地元で食肉卸などを手がける宇田ミート(同)社長の宇田陽一さんは全日制、夜間を経て同校の通信制で2年間学び晴れて卒業。「20年前の忘れ物を取り戻すことができました」と感謝の言葉と共に笑顔でガッツポーズをした。
宇田さんは「自分も中卒で、従業員も中卒。それでも会社がうまくいっていたのを不思議がった親御さんがいて、『社員採用の際に学歴は大切』と言ってしまったので『一緒に高校を卒業しようか?』と言ったことがきっかけで今回卒業することができた。多くの人の出会いのおかげ。感謝」と笑顔で話す。