伊勢志摩国立公園の真ん中に位置し2つの橋で結ばれた風光明媚（び）な賢島にある広域通信制「代々木高校」（志摩市阿児町神明）の入学式が4月18日、同校からすぐそばにある「志摩マリンランド」（同）のペンギン水槽の前で行われた。

【その他の画像】ペンギンたちが祝福する代々木高校の入学式

　同校は、豊かな自然やスポーツに適した環境を生かした教育の実現を目指して「伊勢志摩インターネット高校特区」制度を利用して2005年に開校。現在、東京、名古屋、大阪に本部を置き、全国40以上のサテライト校のほかオーストラリアやカナダなど海外でも日本の高校に通える環境を提供する。

　開校から10回目となった同校入学式。同校校長の一色真司さんは「3回までは当校のホールで行われていたが志摩マリンランドさんの協力で4回目の入学式から毎年、フンボルトペンギンやキングペンギンが泳ぎまわる水槽前が式典会場に。『既成概念を打ち破る入学式を』と思ったのがきっかけ」と話す。屋外で行われる入学式だがこれまで雨天になったことはないという。

　快晴となったこの日、飼育員の計らいにより水槽の中に飛び込んだペンギンたちは水の中から入学式を祝福。一色校長は新入生たちに「既成概念を疑え」「違っていていい」「好奇心を持て」とエールを贈る。

　県内のホテルなどで働きながら高校を卒業できる人気の「伊勢志摩料理人コース」には3人が入った。すでにホテル「湯の山温泉 彩向陽（いろどりこうよう）」（三重郡菰野町）の厨房に立つ埼玉県出身の森星音（しおん）さんは「毎朝5時30分に起き6時には仕事場に入っている。少しは仕事にも慣れてきたが、まだまだ大変」、ホテル「蒲郡温泉郷 天の丸」（愛知県）で働く東京都出身の米谷拓真さんは「毎日怒られている（苦笑）。最初は立ち続けることが辛かった」と心境を打ち明けるが、2人は「頑張って料理人を目指したい」と意欲を見せる。

　今年度賢島本校への新入生は29人。東京本部などを合わせると計126人が新たに入学した（4月18日現在）。