
伊勢神宮内宮(ないくう)を流れる五十鈴川の中に体を沈め心清めるみそぎなどを行う「みがく特別講習会」が2月15日・16日、「公益財団法人修養団(しゅうようだん)伊勢青少年研修センター」(伊勢市宇治今在家町)で行われた。
修養団は1906(明治39)年、東京師範学校(現在の東京学芸大学)在学中の蓮沼門三(はすぬまもんぞう)を中心とする学生らによって社会教育活動を実践するために創立された団体。渋沢栄一や松下幸之助らの支援を受けて今日まで続き、来年120周年を迎える。日立グループや住友グループ、豊田自動織機などの企業や松下政経塾、青年会議所などの団体が研修の場として活用する。修養団の活動がきっかけとなりNHKラジオ体操、日本ボーイスカウト連盟が生まれた。内閣府所管の公益財団法人で本部は東京都渋谷区。
「みがく特別講習会」は、1963(昭和38)年から始まる3泊4日で行う「みがく講習会」を、1泊2日で参加できる特別プログラム。冬の五十鈴川で、心穏やかに集中し身を清める「水行」、大人の自分、とらわれている自分を捨て、幼心に立ち返る「童心行」など、日常の「当たり前」を再認識し、感謝する心、思いやりの気持ちを育てる講習会として人気を集める。2月4日~7日に行われた「みがく講習会」は1231回を数え、パリ五輪セーリング出場の選手2人も参加した。
この日は、岐阜青年会議所や大阪府倫理法人会、NPO法人おのみち寺子屋のメンバーや島根県や鳥取県に本社があり、多気町にも三重工場を持つ日新グループの社員ら約120人が参加した。
山口県宇部市でフリースクール「おかむら塾」や冒険心あふれる子どもたちを育てる「森と海の学校」などを運営し、1977(昭和52)年に手作りボートで147日間単独太平洋横断を達成した岡村精二さんが特別講師として自身の体験を参加者に伝えた。岡村さんは「僕は71歳になったが、今も夢の実現に向かって邁進している。夢を夢のままにせずその実現に向かって努力することが生きること。人生は限られた時間だから」と投げかける。
尾道市出身の小日向宣仁さんと杉原誇太さんは「効率やタイパが優先される時代だが、(非効率でも)人として活動することの大切さを気付かせてもらった」「とても爽やかな気持ちで伊勢神宮参拝をさせてもらい、新たな気持ちで仕事にも向き合える気がする。すぐにでも実践していきたい」と参加した感想を漏らす。
修養団所長の武田数宏さんは「若い時に自己啓発の研修を受けるチャンスをもらえた人は幸せだと思う。そんな経験をしている人に出会うと素直な人が多い気がする」と話す。