太陽神・猿田彦(サルタヒコ)神を祭る伊勢二見・興玉(おきたま)神社・夫婦岩のしめ縄の中央に6月17日夜明け前、富士山が現れた。
朝焼けで赤く染まった空に富士山のシルエットが二見・興玉神社夫婦岩の中央上に。
同神社境内の富士見橋の上には約200人のアマチュアカメラマンが陣取っていた。夫婦岩の間から富士山と朝日が重なるその奇跡の瞬間をカメラに収めようと泊りがけで待つ人もいる。毎年夏至をはさむ20日前後に奇跡は訪れる。
同日4時ごろ、朝焼けで東の空が赤く染まり、日本の霊峰・富士山のシルエットがくっきりと現れると、さっきまで真っ暗で波の音だけが聞こえていた境内がざわつき、シャッター音が広がった。
「今年は大丈夫――」と富士山の出現で周囲が安堵(あんど)に包まれ、カメラマンらは日の出予定時刻の4時40分になるのを待つ。
「そろそろ――」「あと2分――」などと時計を気にしながら待っていると急に雲が現れ、富士山が見えなくなってしまった。「あら~」「え~」と落胆。しかしながら期待を裏切られながらも、雲がなくなり再び富士山が現れるのを待ち続けた。中には「ふー、ふー」と雲を消そうと、息で風を送り込むしぐさをする人の姿も。
あきらめかけた4時48分ごろ、富士山は再び現れることはなかったが、ちょうど富士山の山頂あたりから太陽の光が「V」の字になって光り輝いた。再びカメラマンらのシャッター音が鳴り響くと、「サッカー日本代表の勝利のVかも――」とその光景を肯定した。
同神社では6月21日3時30分から夏至祭を斎行し、その後、日の出予定時刻の4時40分に夫婦岩の前の海に浸かりみそぎを行う。前日の20日から(初穂料5,000円)と、当日のみ(初穂料3,000円)の参加が可能。問い合わせは同神社社務所(伊勢市二見町、TEL 0596-43-2020)まで。