幸運を招く鳥とされるスズメ目アトリ科の鳥のウソが志摩のサクラの名所「横山」(志摩市阿児町鵜方)のサクラの蕾(つぼみ)をついばんでいる。
2月6日から確認されているウソの群れ。5~8羽の群れが5000本以上あるとされる横山のサクラの蕾を食べている。ウソのその行動に横山展望台を訪れた観光客は「ウソ~やめて~」と駄じゃれを言いながらもほほ笑み、鳥たちの生態に興味を持っていた。
ウソは日本海沿岸に生息するスズメの仲間。全長15センチ前後でスズメより一回り大きく、くちばしは太く短く、頭と尾と羽が黒色、背中や胴は灰色をし、雄は喉がピンク色で美しい(雌は灰色)。冬季は南下し長野県や岐阜県の北部や長野以北の山地の針葉樹林で繁殖する。「フィーフィー」と人間が口笛を吹いたように鳴くことから口笛と間違うのでウソと言われるようになったとされる。木で作ったウソの形のお守りを毎年新しく替えると、これまでの悪いことが全て嘘になり幸運を招くとされる「うそ替え神事」が太宰府天満宮など菅原道真を祭る神社で行われ、幸運を招く鳥とされている。130円切手のデザインにもなっている。
定期的に探鳥会などを県内各地で開催する日本野鳥の会三重(度会郡玉城町)代表の平井正志さんは「ウソは冬の寒い間の食べ物がないときに、ひもじい思いをしながら越冬し、暖かくなる春先のサクラやウメの蕾が出るころに群れをつくって花の蕾を食べる。スズメと違い地面には降りない。数百匹の大群で襲来することもあるが三重での記録は聞いたことがない。その場合はサクラの開花にも影響を与えるが、数十匹の群れの場合は問題ない」と説明する。
同会では、名張川(2月17日)、木曽岬干拓地(同24日)、広域伊勢志摩圏内では伊勢市の外城田川中流(3月10日)で探鳥会を予定する。平井さんは「初めての人も気軽に参加していただければ」と呼び掛ける。
横山ビジターセンター(同)では「冬の野鳥観察会」を今月16日に開催する。