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「英虞湾をきれいに」-志摩の企業が排水浄化装置開発、三重大と共同で

「英虞湾をきれいに」-志摩の企業が排水浄化装置開発、三重大と共同で

「英虞湾をきれいに」-志摩の企業が排水浄化装置開発、三重大と共同で

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 三重大学(津市)大学院地域イノベーション学研究科・博士後期課程で3年間、排水浄化装置の研究・開発に取り組んできた志摩出身の宝門豊さんが3月19日、同大でのこれまでの研究成果を発表した。

三重大学と志摩市の企業が連携し小型排水浄化装置開発

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 地域イノベーション学研究科は、地域にイノベーションを起こし、地域を活性化させる人材を創出するために2009年に創設。主にプロジェクト・マネジメントが担える研究開発系の人材を育て、鶴岡信治教授が学研究科長を務める。

 宝門さんは、浄化槽や下水道など水環境の整備点検を行う志摩環境事業協業組合(志摩市阿児町)で働く傍ら、2009年に真珠を育む英虞湾の水質保全と地域活性化を目的に日本エレメント(同)を設立し、その社長に就任する。2010年に同科の博士後期課程に入学し、同大と共に小型排水浄化装置の共同研究を行ってきた。

 共同研究により開発された小型排水浄化装置は、新たに開発した新素材のフッ素樹脂(PTFE)でできた1万分の2ミリの多孔質膜により排水を浄化する平膜分離方式を採用し、志摩地域の企業連携で生産できるように地域一体型製造体制を構築し製品化した。従来のものよりも約2倍の排水処理能力を持ち、約1.5倍の耐久性を兼ね備え、さらにサイズを3分の2に小型化、イニシャルコスト、ランニングコストも抑えた。

 宝門さんは在学中、志摩市内の小規模水産加工業者に設置し同大と共に実証試験を行い、科学的根拠に基づくデータを取り改良を重ね、県外へも製品を出荷。海外進出も視野に入れ、日本だけでなく、7カ国で意匠登録と特許出願を行った。

 「新素材のフッ素樹脂膜の開発は、三重大学での研究がなければかなわなかった。この排水浄化装置を地域で使ってもらえれば、水の浄化と地域の産業が活性化されることになる。この装置を1000台設置し20年間稼働させれば英虞湾をきれいにすることができる。地元で使ってもらえるように頑張りたい」と宝門さん。

 鶴岡教授は「宝門さんの研究開発のすごいところは、実際に製品化し販売実績もつくったこと。地域で製造され、地域で使われるようになれば、まさに地域イノベーションが起こる。応援したい」とエールを送る。

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