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大正時代まで薬店営む旧家・大庄屋の旧広野家住宅を一般公開-鳥羽市

大正時代まで薬店営む旧家・大庄屋の旧広野家住宅を一般公開-鳥羽市

大正時代まで薬店営む旧家・大庄屋の旧広野家住宅を一般公開-鳥羽市

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 「かどや(角屋)」と呼ばれ、江戸時代は大庄屋を、江戸時代後期から大正まで薬店を営んでいた広野藤右衛門の旧家「鳥羽大庄屋 かどや」(鳥羽市鳥羽、TEL 0599-25-8686)が5月1日から、一般公開を開始した。運営は「かどや保存会」(同)が行う。

広野藤右衛門の旧家「鳥羽大庄屋 かどや」

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 同家は、2004(平成16)年4月27日に親族より鳥羽市に寄贈され、建築物と民俗資料の重要性が認められ、2006(平成18)年3月2日に国の登録有形文化財として登録された。広野家は、鳥羽随一の財産家で鳥羽城内に専用の部屋があったとも言われている。

 旧鳥羽街道の沿道に建つ同家は、木造平屋及び2階建ての母屋(切妻造り、桟瓦葺・建築面積292平方メートル)と、内蔵(切妻造り、本瓦葺、建築面積41平方メートル)、土蔵(切妻造り、本瓦葺、建築面積 29平方メートル)などから成る。母屋の東西棟西半分2階建て部分は1825(文政8)年の建築、東半分は1884(明治17)まで増改築されてきた。ケヤキの太柱や、ステンドガラス風の色ガラス、手の込んだ細工がある障子や欄間が残る。

 江戸後期に6代目が「三僊(せん)堂」という薬店を創業、 明治の8代目が「括嚢舎(かつのうしゃ)」と屋号を代え 戦前まで薬店を営業してきた。産後に効く「鎮血安産湯」、たんやせきに効く「人参通気円」などのオリジナル薬の調合を行い、大阪などの薬剤メーカーから仕入れていたであろう「複方ヨード液」「利水散」「乳糖ペプシ子」「ペプリン丸」「熱丸」「ドクトリ丸」「健胃固腸丸」「神経丸」「解熱丸」「健胃下腹丸」「胃酸液素」などの薬を鳥羽や志摩地域に供給していたとされる。

 鳥羽市教育委員会文化財専門員の野村史隆さんは「100年~150年前からの生活用具や製薬用具一式が最近まで使っていたかのように素晴らしい保存状態で残されていた。昔の写真などを見ながら『薬屋廣野(かどや)』をできるだけ忠実に再現した」と説明。同会の清水久行会長は「今後は、建物の保存に留まらず活用に重きを置き、鳥羽で培われた伝統や文化を未来につなぐ情報交流の場として運営していこうと思う」と話す。

 一般公開記念として鳥羽市出身の和紙人形作家の阿部夫美子さんの伊勢神宮に因んだ神話の神々を人形にした作品展を開催中。5月27日まで。開館時間は10時~16時。火曜休館。

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