「女性の願いを一つだけかなえる神社」として近年、「最強のパワースポット」などとガイドブックなどで紹介される「神明神社」(鳥羽市相差町)の社殿などが昨年、新しく建て替えられた。真新しい白木香る本殿で昨年12月22日冬至の日に、同神社の参拝で願いをかなえた女性の結婚式が厳かに執り行われた。
昨年12月5日、55年ぶりに遷座祭が行われた同神社。主祭神は伊勢神宮内宮(ないくう)と同じ天照大御神(あまてらすおおみかみ)。女性の願いを一つだけかなえてくれるのは同神社境内にある「石神社」。こちらの主祭神は、神武天皇の母、豊玉姫命(とよたまひめのみこと)の妹にあたる玉依姫命(たまよりひめのみこと)。昔から海女たちの信仰の場となり、「石神さん」と親しみを込めて呼ばれ、いつの日か「女性の願いを一つだけかなえてくれる神様」と口コミが広がった。
結婚式を挙げたのは大阪在住の2人。13年間の付き合いだった2人は、5年位前から参道沿いにある「遊び心の宿 のいち」(同)に宿泊し同神社への参拝を毎年の恒例行事にしていた。そして昨年6月、女性の願いはかなえられ結婚に。話はトントン拍子に進み、同宿の紹介で旅館「花の小宿 重兵衛」(同)が昨年秋からスタートさせた「お礼参りの結婚式」プラン第1号カップルとなった。
男性は黒の羽織袴、女性は白無垢(むく)姿で登場し、新しくなったばかりの正殿で神前結婚式を挙げた。女性は「本当に女性の願いをかなえてくれる。今日ここで結婚式を挙げられたことは最高の幸せ」と感想を漏らした。
中村幸照町内会長は「昨年遷座祭を終え新しくなったご正殿での結婚式は、とてもおめでたいこと。願いがかなって結婚に至るカップルには、ぜひとも神明神社で結婚式を挙げていただきたい」と話す。
中村さんによると、年間数千人程度の参拝者は口コミの影響で、2009年に約3万5000人、2010年に一気に約13万5000人になった。その後もマスコミの取材などの影響で増え続け2011年には約17万人、2012年には約18万5000人、そして昨年2013年には20万人以上の参拝者が訪れた。
伊勢市出身の野口みずぎ選手が、2004年のアテネ・オリンピック女子マラソンで2時間26分20秒の記録で金メダルを獲得した際、伊勢神宮のお守りと、石神さんのお守りをトランクスに縫い付けていたことが後日判明し、マスコミに大きく取り上げられたことも参拝者増に拍車をかけた。