太陽が最も北寄りに現れる夏至の日の6月22日、二見興玉神社(伊勢市二見町)夫婦岩(めおといわ)の真ん中から朝日と富士山が重なった。この日同神社では恒例の「夏至祭」が行われ、ふんどし姿の男性と白装束姿の女性約200人が海の中でみそぎを行った。
同神社の海岸に浮かぶ夫婦岩の中央に朝日と富士山が重なるのは6月1日~7月初めごろの約30日間だけ。しかしながら梅雨時とも重なるため雨の日が多く、富士山はおろか朝日が出る確率は非常に低い。同神社から富士山までは直線距離で200キロ以上離れている。
この日、「雨もしくは曇り」の天気予報は見事に外れ、梅雨の合間を縫って人々の思いが通じたのか、雲は多いものの空は見事に晴れた。富士山の左肩から現れた太陽は、ゆっくりと霊峰富士のシルエットを写し出しながら頂上まで到達すると、富士山は見えなくなったが代わりに、まん丸の太陽に変わった。みそぎに参加した人からは大きな拍手と歓喜の声が湧き上がった。
これまで2012年に日の出前に約3分間富士山が見えたが、その後は雲で覆われ太陽も現れなかった。2011年にはぼんやりとした朝日が現れ、雲の中から薄っすらと富士山も現れた。同神社神職の岡みどりさんは「今日のように夏至の日にくっきりと富士山と朝日が観測できたのは20年ぶりになるのでは…」と説明する。
来年志摩市での開催が決定した「伊勢志摩サミット」。安倍首相が伊勢神宮についても言及したことから首脳陣が伊勢神宮を訪れる可能性があることを受けて、伊勢市長の鈴木健一さんは「毎年公務がなければ夏至祭には参加している。今回で4回目だと思うが、これまでの中で一番の経験だった。伊勢志摩サミット開催が決定して、身が引き締まる思い。みそぎで心も体もリフレッシュした。新たな思いで臨んでいきたい」と意気込む。