全国に頒布される伊勢神宮のお神札（ふだ）「神宮大麻（たいま）」や「神宮暦（こよみ）」を奉製する年初めの祭典「大麻暦奉製始祭（たいまれきほうせいはじめさい）」が1月8日、神宮司庁頒布部（伊勢市中村町）内の斎場で行われた。

【その他の画像】「神宮大麻」第1号に印を押す「大麻暦奉製始祭」

　「大麻」は神棚などに祭る伊勢神宮の神札のこと。毎年伊勢神宮の「御用始め」となるこの日に行われる同祭は、最初の奉製作業となる大麻第1号に印を押し、1年間の奉製作業の安全と頒布が滞りなく行われるように祈願する。この日は、鷹司尚武大宮司を始め神職や職員と奉製員ら計114人が参列し祭典を見守った。

　大麻には大きく分けて、神宮で直接授与する「授与大麻」と全国の神社に頒布される「頒布大麻」の2種類があり、頒布大麻の神号名には「天照皇大神宮（てんしょうこうたいじんぐう）」と書かれ、「皇大神宮御璽（ぎょじ）」の印が押されている。「神宮暦」とは、「神宮大暦（たいれき）」と「神宮暦（小暦）」の2種類があり、科学的データに基づき天体・気象の詳細な情報、全国各地の神社の例祭日などを記載した暦・カレンダーのこと。

　もともと大麻や暦は御師（おんし・おし）が全国に頒布していたものを、御師制度が廃止された1872年から神宮が同部での奉製・頒布を行い、神社本庁を通じて全国各地の氏神を祭る神社に頒布され、そこから各家庭に届けられている。

　同部では1年間に、大麻954万体（大麻＝900万体、中大麻＝50万体、大大麻＝4万体）、神宮暦7万7000部（小暦＝7万部、大暦＝7000部）を奉製し、9月17日に行われる「大麻暦頒布始祭」の後、全国に頒布する。奉製員らは朝出勤するとまず、潔斎し（身を清め）、白衣に着替えてからそろって両宮を遙拝（ようはい）した後、それぞれの作業に取り組む。