食べる 見る・遊ぶ

伊勢志摩サミットの食中酒、元坂酒造の「酒屋八兵衛」に注目集まる

伊勢志摩サミットの食中酒、元坂酒造の「酒屋八兵衛」に注目集まる

伊勢志摩サミットの食中酒、元坂酒造の「酒屋八兵衛」に注目集まる

  • 0

  •  

 G7主要国首脳会議「伊勢志摩サミット」初日5月26日のワーキングランチで、広域伊勢志摩圏内で唯一「元坂酒造」(多気郡大台町)の「酒屋八兵衛(はちべえ)」が食中酒に選ばれ注目を集めているが、同蔵はサミット後も変わらず独自の販売スタイルを貫いている。

【その他の画像】「酒屋八兵衛」を製造する元坂酒造

[広告]

 初日のワーキングランチ乾杯酒は「清水清三郎商店」(鈴鹿市)の「作(ざく)智(さとり)純米大吟醸 滴(しずく)取り」、食中酒は「元坂酒造」の「酒屋八兵衛 山廃純米酒 伊勢錦」、コーヒーブレイク&カクテル(振る舞い酒)は「清水清三郎商店」の「作 穂乃智(ほのとも) 純米酒」と「宮崎本店」(四日市市)の「宮の雪 純米酒」。同日のディナー乾杯酒は、「大田酒造」(伊賀市)の「半蔵 純米大吟醸 山田錦」、食中酒は「瀧自慢酒造」(名張市)の「瀧自慢 辛口純米 滝水流(はやせ)」。27日のワーキングランチ乾杯酒は「瀧自慢酒造」の「瀧自慢 純米大吟醸」、食中酒は「木屋正酒造」(名張市)の「而今(じこん)純米吟醸 山田錦」。三重県内35蔵の内、4蔵6銘柄が選ばれた。

 元坂酒造は、1805(文化2)年江戸後期、初代元坂八兵衛によって創業。日本一の清流宮川が蛇行し囲まれた地で日本酒「東獅子(あずましし)」「五十鈴川(いすずがわ)」の銘柄を製造販売する。1983(昭和58)年に6代目蔵元の元坂新(あらた)さんが新たに品質重視のブランド「酒屋八兵衛」を立ち上げた。

 蔵元夫人の桐子さんは「毎年、酒販店さんに『(雑誌などのランキング上位に)今度は行くよ』と当酒を評価していただいているが、あまり取り上げられたことがなかった。食中酒に決まった時は、ずっと応援し続けてくださった方々に恩返しすることができたというのが率直な感想。本当にうれしかった。山廃純米酒は華やかな酒というよりもじっくり味わって飲む酒として作ってきたので、それが認められて、乾杯酒ではなく食中酒として選んでいただいたのにも喜びは倍増」とほほ笑む。

 世界利き酒師コンクール3位で、NHK文化センター日本酒講師、お酒に合う料理教室「Sake's Kitchen」主宰、日本酒バー&スクール「ELLAS」(愛知県名古屋市)を運営するタナカジュンコさんは「世界的にはフルーティーな香りの大吟醸が日本酒ブームをけん引しているが、今回のサミットでは、食事を楽しみ話を円滑にし長く飲める、純米・山廃造りなどのカテゴリーが選ばれた。『乾杯酒』だけでなく、ワイン、デザートワインの間に『食中酒』としての日本酒が組み込まれたことはとても画期的なこと。日本酒と料理のマッチングの可能性を世界に発信することができたのでは」と分析する。

 元坂酒造の酒について、タナカさんは「特に、ワーキングランチで提供された元坂酒造さんのお酒は、酒米、酵母など全てが三重県産。特に伊勢錦は蔵元が情熱を掛けて復活させた山田錦の母と言われる酒米。『地酒』という『テロワール』が表現されたこの素晴らしいお酒をよくぞ選んでくれた!というのが本音。ぜいたくを言えば、山廃の味わいを生かして、燗(かん)をつけて提供してほしかったが…」と話す。

 品質への評価に比例して注目度も上がる一方、品薄、品切れの状況が4蔵で続いている。同蔵7代目に当たる新平さんは「『酒屋八兵衛 山廃純米酒 伊勢錦』が選ばれ問い合わせは殺到しているが、お断りさせていただいている状況。これまでと変わらず、ずっと応援していただいていた酒販店さんを通して販売している。大変申し分けないが出荷数が限られているため新規の取引はできない」と話す。

伊勢志摩経済新聞VOTE

現在お住まいはどちらですか?

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース