海女を描き続けて28年以上になる志摩市在住の銅版画家・吉田賢治さんの作品展が11月3日~28日、大王美術ギャラリー(志摩市大王町)で開催されている。同展は、志摩市が「海女サミット」を記念して主催したもの。
吉田さんは、1951(昭和26)年名古屋市生まれ、1975(昭和50)年愛知県立芸術大学(愛知県愛知郡)デザイン科卒業。画家として名古屋や東京を中心に活動していたが1985(昭和60)年、34歳の時に交通事故で右手を骨折したのを機に1987(昭和62)年、妻の故郷・志摩に移住。
1988(昭和63)年から海女を描き続け現在に至る。今や女性たちのパワースポットとして注目されている「神明神社(石神さん)」(鳥羽市相差町)や「海女文化資料館」(同)のアートデレクションなどを手がけ、今日の「海女(あまちゃん)ブーム」の先導役を担った。今年、伊勢志摩サミット開催を記念してイオングループの夏ギフトカタログの表紙や海女の絵が採用された「伊勢志摩ワオンカード」、作品制作風景を撮ったプロモーションビデオなど、同グループとのコラボが展開された。これまで描いた海女の作品は、銅版画や水彩画、スケッチなどを入れれば200点以上。
同展では、1992年~2016年に吉田さんが描いた海女を中心にした作品55点を展示。ワオンカードになった作品「海の宙」も同カードなどと共に展示する。
吉田さんは「志摩に来て初めて海女を見た時の衝撃はいつまでも忘れない。白い磯着姿の海女は海ではなく宇宙を漂っている女性をイメージした自分の理想像。黒のウエットスーツ姿の海女は力強さと躍動感を感じる現実像。海女作業は体ひとつで海に潜る命がけの作業で、その命をかけて行う姿に『生命を作った海』と『生命を生み出す女性』を表現した。そこに人間の根源があると感じている」と話す。
開館時間は9時~17時(最終入館は16時30分)。火曜・水曜日休館(祝日の場合は開館)。