「UL JAPAN」安全試験所(伊勢市朝熊町)で3月30日、電気自動車(EV)用高出力充電器の最新機を使ったデモンストレーションが行われた。主催は、「チャデモ(CHAdeMO)協議会」(東京都港区)。
35カ国340社が加盟し、EVの急速充電に関わる技術開発を通じてEV普及の貢献に取り組む同協議会。2017年3月現在、56カ国に約1万3882基の急速充電器を設置し、11社21車種約55万台のEV(PHV)が同方式を採用している。「CHAdeMO」は、「CHArge de MOve = 動く・進むためのチャージ」「de = 電気」「充電中にお茶でも」の3つの意味を持つ急速充電方式の名称。
同協議会によると、この日デモンストレーションを行った最新式の高出力充電器は、シグネット(韓国)、デルタ電子(台湾)、BTC パワー(米国)社製で、電圧はこれまで最大電圧500V、電流量は最大値だった125Aから400Aになり、実効充電出力は50kWから150kWに向上したという。充電時間は従来の3分の1に短縮され、理論上バッテリーを80%充電するのにこれまで30分掛かっていたものが10分になる。
この日は充電出力を100kWにセーブし、バッテリー容量24kWhのEV「リーフ」(日産)と、高出力充電器用にバッテリー容量を60kWhに拡張したプロトタイプのリーフの2台に従来型と最新型の充電器から同時に充電を行い、走行可能距離が100kmに達するまでの時間を測定した。結果、最新型の充電器が8分45秒で100kmに到達。従来型はその半分の約50kmの充電で終わった。
同協議会事務局長の吉田誠さんは「まずは新規格の急速充電器を年内に設置したい。2018年には設置箇所を3ケタにしていきたい」と意欲を見せる。「EVの世界市場では現在、大きく分けてCHAdeMO方式と欧州を中心に広がるCOMBO(コンボ)方式の2つの規格がある。できればCHAdeMO方式で進めたいが難しい現状もある。一方、3月20日に日独両国間で定められた『ハノーバー宣言』ではEVの充電インフラ整備の普及において協力する項目に盛り込まれた」とも。
参加企業(車両)は、日産自動車(リーフ、eNV200)、三菱自動車工業(アウトランダーPHEV、i-MiEV、ミニキャブMiEVバン)、本田技研工業(クラリティFCV)、トヨタ自動車(プリウスPHV)、いすゞ自動車(プロトタイプEVトラック)、テスラモーターズ(モデルS)、BMW(i3)。