日本の伝統文化について学ぶNPO法人「五十鈴塾」(伊勢市宇治浦田、TEL 0596-20-8251)が3月27日、かつお節についての講座を行った。
【その他の画像】炊きたてのご飯に削りたてのかつお節としょう油を混ぜただけの「おかかご飯」を試食
講師は、かつお節の製造販売を手掛ける「かつおの天ぱく」で知られる「まるてん」(志摩市大王町、TEL 0599-72-4633)社長の天白幸明さん。
天白さんがかつお節の製造工程や歴史、伊勢神宮との関わりなどについてわかりやすく説明。参加者はかつお節の一番だしを試飲、土鍋で炊いた炊きたてのご飯に削りたてのかつお節としょう油を混ぜただけの「おかかご飯」を試食し、頭と腹からかつお節について深く学んだ。
天白さんは「カツオ自体は縄文時代から食べられていたが、保存食としてなんらかの加工がされたのは5世紀ごろのよう。飛鳥時代には朝廷に干しカツオが献納され、その中に志摩産があった。現在のかつお節に近いものは室町時代に作られ始め、江戸時代には熊野で薫製にする方法が考案され、出汁(だし)として大きな位置を占めるようになった。江戸時代のかつお節の番付では志摩のかつお節が行司役として扱われていた」と説明する。
「なぜ志摩でかつお節なんですか?と疑問に思うかもしれないが、3、4月に水揚げされるカツオを約6カ月掛けて加工にするとちょうど10月の神嘗祭(かんなめさい)に伊勢神宮の神に捧げる神饌(しんせん)として納めることができた。そして祭典後直会(なおらい)として神様に捧げたものを共にいただく『神人共食(しんじんきょうしょく)』によって神恩感謝し継続してきた経緯があるから」と持論で説く。
同塾の橋爪貴子さんは「忘れ去られようとしている日本の文化について学ぶことが大切と思い、定期的に講座を開催している。今回はかつお節について、日本の出汁文化について興味深く学んだ」と話す。
同塾は、定期的にさまざまな講座を開催、一般の人も自由に参加することができる。