鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽、TEL 0599-25-2555)の一風変わった入社式が3月31日、同館で行われた。
エントランス正面にある「コーラルリーフダイビング水槽」(水量約800トン、奥行き15メートル、幅16メートル、深さ5.5メートル、水温26度)にはナポレオンフィッシュなど約100種5000匹の魚が泳ぐ同館で最も大きい水槽だ。同館の入社式はその水の中で行われる。今回で11年連続12回目。
今年の新入社員は計6人(男性1人、女性5人)。そのうちの飼育研究部に配属される東京都大田区出身の中澤紗映(さえ)さん(20)、奈良県橿原市出身の南理沙さん(22)、兵庫県加古川市出身の西岡冴映さん(22)、静岡県富士市出身の深見一貴さん(22)の4人が、初心者マーク付きの空気ボンベを背負って水中での入社式に挑んだ。
水中入社式では、奥出協(かなう)館長からの祝辞の後、辞令書が読み上げられ、水中の若井嘉人副館長から中澤さんに手渡された。続いて飼育係の先輩からガラス磨き用のスポンジがプレゼントされると、会場から笑いが起こった。
南さんは、水中から「一日も早く(スー)一人前の飼育係として(スー)生き物とお客さまの(スー)懸け橋となれるよう(スー)頑張ります(スー)」とあいさつした。(スー)は空気を吸う音。
式典終了後、4人はびしょ濡れのスーツ姿で報道陣に取り囲まれながらも笑顔で対応。中澤さんは「生まれてはじめての経験でとても楽しかった」。南さんは「あいさつをしなければいけなかったので緊張した」、西岡さんは「多くのお客様に囲まれてうれしかった」とそれぞれ感想を述べた。両親や親戚など約30人が水槽の外で見守ったという深見さんは「緊張したがいい経験になった。子どもから大人まで楽しめる施設にしていきたい。水槽の中からも親戚全員の顔が見えた」と答えた。
これまで水中入社式に臨んだ新入社員は合計30人になった。