社会人サッカークラブのNPO法人「FC.ISE-SHIMA(FC伊勢志摩)」の新理事長に12月1日、名古屋グランパスエイトなどで活躍した元Jリーガーの小倉隆史さんが就任した。
同法人は、2022年までに三重県・中南勢地域からJリーグ入りを目指すという大きな目標を抱え2012年に設立。2013年、三重県社会人リーグ2部に初参戦で初優勝し、2014年に1部昇格し2位。2015年には東海社会人サッカーリーグ2部に昇格し2位、2016年に1部昇格し4位になった。同年、初めて全国社会人サッカー選手権大会にも出場。2017年からは伊勢市、志摩市、鳥羽市、松阪市、度会郡、多気郡の計4市7町から後援・協力を得る。2017年は同リーグ1部で3位になったほか、全国社会人サッカー選手権大会に2年連続出場。2018年は同リーグ1部で4位の成績だった。
小倉さんは鈴鹿市出身。四日市中央工業高校(四日市市菅原町)3年時の第70回全国高等学校サッカー選手権大会で、同クラブ前理事長の中田一三さんらと共に優勝(同点で帝京高校と両校優勝)をもたらした。その後、名古屋グランパス、オランダ・エクセルシオール、ジェフユナイテッド市原、東京ヴェルディなどで活躍。1994年日本代表、2016年名古屋グランパスのGM兼監督を務めた。FC伊勢志摩には2013年の設立時からクラブアドバイザーとして参画している。
理事長兼総監督を務め、これまで同チームの創成期を支え、チームの強化を図ってきた「横浜フリューゲルス(現横浜F・マリノス)」などで活躍した元Jリーガーの中田一三(なかたいちぞう)さんは12月1日付けで両職を退任し、クラブアドバイザーとなった。来年4月からは「京都サンガF.C.」のトップチームの監督に就く予定。
12月20日、小倉さんと中田さんと同クラブ監督の金守智哉さんらが竹内千尋志摩市長を表敬訪問し、小倉さんが新理事長就任の報告を行った。報告会の中では「Jリーグに上がるためには5000人収容可能なスタジアムが必要」「3万平方メートル規模の市有地を提供してもらえれば構想を具現化したい」「駐車場に1万平方メートル、スタジアムに2万平方メートル、山の斜面などを利用すれば建設費が10分の1になる」など具体的な話が飛び出し、竹内市長も「国府浜に市有地があるので検討してみては」「ラグビーの試合もできるスタジアムであれば、実業団ラグビーチームの練習や公式試合開催もできるかも」などと盛り上がった。
小倉さんは「まずは、アマチュアトップリーグの日本フットボールリーグ(JFL)を目指し、本腰を入れる。JFLで活動するには、試合も全国で行われるため、その遠征費用やサポート体制も東海リーグとの差は大きく異なる。予算規模で最低でも1億円は必要になる。選手強化と共に最高のチーム作りを目指す」と話し、「JFLの先のJリーグに昇格するためには、さらに越えなければならない壁は多く、やらなければならないこともたくさんある。そのためにも、来月から家族と共に伊勢市に移住し職を全うする。竹内市長にも毎試合応援に来ていただけるように勝ち続けていきたい」と意欲を見せる。