小野八幡神社(兵庫県神戸市)の現役神職で歌手の「涼恵(すずえ)」さんが4月29日、昭和の日に音楽CD「楽園」(販売元:ユニバーサルミュージック)をリリースした。
【その他の画像】現役神職の涼恵さんがCDリリース。PV撮影は伊勢の宮川
通算5作目となる同作は、伊勢市生まれで明和町育ちの音楽家・長岡成貢さんがプロデュース、全10曲の中、6曲を作曲、編曲する。
涼恵さんは、2006(平成18)年、世界宗教平和会議でオープニングソングを歌い、2007(平成19)年、米国ニューヨーク・カーネギーホールでリサイタルを行った。2015(平成27)年には「豊葦原の瑞穂の国(とよあしはらのみずほのくに)」(キングレコード)がオムニバスアルバム「よく知らずに聴いてた・歌ってた 神社の歌」の中に収録された。令和元年11月、角松敏生さんプロデュースによる童謡を唄ったアルバム「御大典記念 童謡唱歌 心のふるさと」をリリース。今回のアルバムにも収録した「さくら道」のミュージックビデオは、ドキュメンタリー映画「かみさまとのやくそく」の萩久保則男監督よるもの。「武士道」の著者であり、旧五千円札の新渡戸稲造は縁戚にあたる。
長岡さんは、SMAP、EXILE、MISIAさんなどさまざまなアーティストに楽曲を提供すると共に、映画「桜田門外ノ変(2010)」「渾身 KON-SHIN(2013)」など映画音楽を担当。現在、インターネットで無料配信中のドラマ「日曜劇場 JIN-仁-(2009~2011)」や映画「たたら侍(2016)」などの音楽も手掛けた。一方、地元明和町の特別観光大使第1号を務め、「斎王祭り」のテーマ曲「斎宮(さいくう)物語~斎王(いつき)の舞」を制作(1992)するなど地元との関わりも深い。昨年11月14日の大嘗祭の日に自身のアルバム「美しきひめみこたちの物語~Mistic world of Himemiko~」をリリース、涼恵さんも参画している。
6曲目に収録する「常若(とこわか)の森」は元伊勢神宮神職の河合真如(しんにょ)さんが作詞した曲で、昨年11月に伊勢市観光文化会館(伊勢市岩渕)大ホールで行われた「常若の森」完成披露コンサートにもステージに立った。1曲目の「水のメロディ」と3曲目の「北斗七星」のミュージックビデオは伊勢市を流れる宮川や斎王がみそぎをしたとされる明和町の大淀海岸などで長岡さん自らが撮影した。
涼恵さんは「神職の歌い手として、全世界が禍々(まがまが)しい空気に恐れおののいている中、この時期にニューアルバムが出ることは、とても意味があることだと深く受け止めている。この世の中を祓い清めること。人々の心の不安と恐れを鎮(しず)めること。歌い始めた頃から一貫して、そんなことを作品に込めて歌ってきた。地球環境も、人間も、本来在るべき姿へと原点回帰しているのかもしれない」と話す。
涼恵さんは「収録した『北斗七星』の詩を書いた時、新型コロナウイルスのことも、今の状況も思いもよらず書いたが、『遥(はる)か彼方(かなた) 光示す 北斗七星 この闇を照らして 未来へ 希望抱いて 絆 結ぶ 生きとし生ける命を讃えている』の部分が、今の現状に呼応するメッセージだと多くの人から共感いただいている。自宅待機を促されるタイミングだからこそ、音楽や歌をゆっくり聞いていただくことで、細胞を活性化し免疫力を高めていけると私は信じている。音楽の力を、歌の力を、そして祈りの力を強く信じている。歌は祈り。一人でも多くの人にお届けできれば」とも。
長岡さんは「涼恵さんとは、伊勢神宮式年遷宮の年、東京で開催された式年遷宮関連イベントで知り合った。それ以来、私が主宰する『ひめみこプロジェクト』のボーカルや神宮での奉納演奏や斎王まつりなどでの演奏、CD制作にも参加していただいている。不思議と二人をつなぐキーワードは、いつも『音楽』と『伊勢』。『北斗七星』『水のメロディ』のPVは、太陽が降り注ぐ伊勢の大自然、澄んだ空気の中で歌う涼恵さんの姿を撮りたいと思い、美しい宮川のほとりや早朝の大淀海岸などで撮影した。神職でもある彼女と共に作り上げたアルバム『楽園』からは、流れる川の清らかさ、そよ吹く風が音楽となって聞こえてくる。そしてたくさんの祈りが詰まっている。世界中の人々が苦しむ今の時代、アルバム『楽園』を聞いて下さった方々の心の中に、一条の光が差し込み、未来への希望、明日への活力につながるパワーになっていってもらえれば」と思いを込める。
価格は、初回限定盤CD+DVDは4,400円、通常盤CD は3,300円。