志摩マリンランド(志摩市阿児町、TEL 0599-43-1225)で飼育展示中のケヅメリクガメの雌の「セイラ」と雄の「ソラ」の間に生まれた赤ちゃんガメたちが現在、ツイッターなどで「メロンパン」のようだと話題になっている。
新型コロナウイルス感染防止のため3月2日から6月4日まで自粛し休館していた同館。マンボウやペンギン、海女の餌付け実演などを行う回遊水槽が人気の水族館で、1970(昭和45)年3月18日開館。自粛中の3月18日、静かに開館50周年を迎えた。
ケヅメリクガメの「セイラ」は、2006(平成18)年4月29日公開の映画「小さき勇者たち~ガメラ~」(松竹配給、角川ヘラルド映画製作)に「ガメラ」の赤ちゃんとして出演した「トト」で、映画撮影では13匹が用意され、撮影終了後の同年、同館に2匹が贈られた。入館時の「セイラ」は甲長9.7センチ、体重230グラムの大きさだったが現在は、甲長56センチ、体重31キロで、約14年間で体重は135倍に成長。「ソラ」は2012(平成24)年4月26日、越前松島水族館(福井県坂井市)から贈られた雄で、入館時の大きさは甲長47.7センチ、体重23.5キロだったが、現在は甲長60センチ、体重37キロまで成長した。
ケヅメリクガメは、アフリカ中部のモーリタニアからエチオピアのサハラ砂漠周辺のサバンナに生息し、甲長80センチにまで成長するアフリカ最大の陸ガメ。同館では28~30度の温度下で飼育し、小松菜やカボチャ、タンポポ、クズなどを食べさせている。
昨年11月21日、「セイラ」が地面を20センチほどの穴を掘り、8個の卵を産み落とした。その後も、今年1月10日に2回目の産卵で34個、3月2日に3回目の産卵で24個を産んだ。3月8日から18日までの間に、最初の8個の卵から7匹がかえり、5月9日から17日までの間に34個から4匹がかえった。現在24個の卵から1匹がかえり、2匹が卵の殻を破ろうとしている最中だ。
「セイラ」に代わって卵を見守る飼育員の和田由梨香さんは「当館ではケヅメリクガメの餌やり体験を行っているが、9月ごろ『ソラ』が『セイラ』の背中に乗っかり、交尾活動を頻繁に行っていた。餌やり体験中にも交尾をすることが何度もあり、お客さまから質問されるとその度に困ったものだったが、そのかいあって子ガメたちが生まれた。2回目の産卵時はとても寒かったことや受精していなかったことなどが原因で、4匹しかかえらなかった。現在3回目の卵の様子を見るのが毎日楽しみ」と話す。和田さんは室温を30度に設定できるふ卵器を自作、毎日成長過程をチェックしている。
最初にふ化した7匹の赤ちゃんガメはすくすく成長。ふ化したすぐは卵嚢(らんのう)があるため、卵嚢が無くなってから測定した大きさの平均は、甲長4.53センチ、体重32.6グラム(産んだばかりの卵の大きさは横4.3センチ、縦4.68センチの楕円形、重さ55.38グラム)で現在、約3カ月間で甲長7センチ~8.1センチ、体重92.5グラム~126グラムになった。
5月17日、同館のツイッターで、赤ちゃんガメたちの動画をアップすると「メロンパンが転がっているみたい」とコメントが付いた。さらに6月22日に赤ちゃんガメたちが転がる様子の動画をアップすると「メロンパンが歩いているみたいでかわいい」「まさに動くメロンパン」などのコメントとともに、動画の再生回数も10万回を超え話題になった。
和田さんは「赤ちゃんガメの公開はまだだが、現在週に2回ほど親ガメたちのいる部屋で日なたぼっこさせている。カメも人間と同じように太陽の光を浴びるとビタミンDが作られ骨が強くなる。ご来館いただいた時に日なたぼっこしていたらラッキーかも。赤ちゃんガメの公開は7月中旬ごろを予定。公開まではもう少し待っていただければ」とも。
開館時間は9時~17時。入館料は、大人=1,500円、中高生=1,000円、小学生=600円、幼児(3歳以上)=300円。