伊勢市の「月兎舎(げっとしゃ)」(伊勢市馬瀬町、TEL 0596-35-0556)が9月1日、三重のローカル季刊誌「NAGI(凪)」秋号(82号)を発刊した。
戦国時代に築城され城跡として残る三重県内14カ所の山城を紹介し、山城を巡る「山城ハイキング」を特集する。
広域伊勢志摩圏内では、北畠具親(きたばたけともちか)が蜂起(ほうき)し立て籠った連郭式曲輪(くるわ)「五箇篠山城(ごかささやまじょう)」(多気町)、単郭城ながら畝状竪堀(うねじょうたてぼり)が特長の「長原城」、後醍醐天皇の皇子=宗良(むねよし)親王を迎え南朝方の拠点となった「一之瀬城」(以上度会町)、剣術「影流」の祖、剣道の始祖とされる「愛洲移香斎(あいすいこうさい)」を生んだ愛洲一族の居城「五ヶ所城」(南伊勢町)をピックアップ。「鳥羽城」城主であった九鬼嘉隆の戦国物語も紹介している。
同誌編集長の坂美幸さんは「三重県の城跡といえば、津城や伊賀上野城、松坂城を思い浮かべるが、これらは平地に築かれた城『平城』で豊臣秀吉による天下統一がなされてから造られたもの。一方、戦国時代に造られた『山城』は戦いの拠点となる砦(とりで)。戦国時代の城は自然地形をたくみに利用した縄張りや創意工夫が個性的で、今でも多くが里山に戦国遺産として眠っている」と話す。
「今回紹介する城はほとんどが麓から標高差10メートルなので、山装備無しで気軽に登れる。コロナ禍の今、ハイカーが密集する名山を避け、戦国時代の三重に思いを馳せる山城ハイキングを楽しんでみては」とも。
価格は720円。三重県内の書店などで販売している。