マラソンと旅を楽しむ2泊3日のラン旅ツアー「マラニック」が11月14日~16日、伊勢市内で行われた。主催は旅行企画会社「旅エール」(宮城県仙台市)。
同ツアーは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、全国各地で開催される予定だったマラソン大会が軒並み中止となり、みんなで走る機会が少なくなったことを受け、募集人数を最小限にとどめて企画した。「マラニック」は、マラソンとピクニックを合わせた造語で、それぞれのペースで自然や地域などの観光を楽しみながら走るスタイルを指す。同ツアーには、関東、東北、沖縄など各地からマラソン愛好家9人が参加した。
「走ってお伊勢参り&内宮(ないくう)正式参拝 多気町丹生(にう)まちあるき」と題した同ツアーの初日は、伊勢市駅前を起点に、蔵のまち=河崎(伊勢市河崎)を巡り、二見興玉神社(同二見町)を折り返し、おかげ横丁(同宇治中之切町)までを走るコース。二見興玉神社では無垢塩(むくしお)払いを受け旅の安全を祈願。伊勢神宮に納める塩を作る伊勢神宮所管社「御塩殿(みしおどの)神社」塩田の「御塩浜」(同二見町)や米を作る「神宮神田」(同楠部町)にも立ち寄った。
翌日は、早朝から標高555メートルの朝熊山(あさまやま)山頂付近に建つ伊勢神宮の鬼門を守る寺としても知られる「朝熊岳金剛證寺(あさまだけこんごうしょうじ)」(同朝熊町)への山道を駆け上がるトレイルランニングを行った後、伊勢神宮詣でを行った。「お伊勢参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」と伊勢音頭でも詠まれたコースを巡る。
最終日は、「丹生大師(にうだいし)さん」の名で地元民に親しまれる「丹生山神宮寺成就院」(多気郡多気町)を訪れ、地元食材を使った農村料理レストラン「まめや」(同)で3日間を振り返る「直会(なおらい)」を行った。
参加者の一人は「お伊勢さんへは2回ほど来ているが、スタンダードな観光しかしたことがなく、今回は走ることで目線を変えて伊勢の町を感じることができ、とても充実した3日間を過ごすことができた」とほほ笑む。
同社社長の酒井陽介さんは「コロナ禍で各地のマラソン大会が中止になる中、マラソン愛好家の皆さんに楽しんでもらえるツアーができればと企画した。今回の旅では、『走る』×『観光』をテーマに、一般的な観光ツアーでは体験することのできない『自分の足で伊勢の町を駆ける』という企画に参加者の満足度が高かった」と話す。「今後も定番ツアーにしていきたい」とも。