志摩の「南張メロン」農家、「まきボイラー」フル活用で原油高乗り切る

まきボイラーの火力を見せてくれる川口さん。周囲はビニールハウスが立ち並び、まきボイラーで沸かした湯をパイプを通して9棟のハウスに送っている。温度管理はすべて温度センサーで自動化している。木を燃やすのでカーボンニュートラル。

まきボイラーの火力を見せてくれる川口さん。周囲はビニールハウスが立ち並び、まきボイラーで沸かした湯をパイプを通して9棟のハウスに送っている。温度管理はすべて温度センサーで自動化している。木を燃やすのでカーボンニュートラル。

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 志摩の特産品「南張(なんばり)メロン」農家が原油高の影響で悲鳴を上げている。南張メロンを栽培する川口農園(志摩市浜島町南張、TEL 0599-53-0758)では、今年「重油使用ゼロ」を目指して廃材などの木材を有効活用できる「まきボイラー(ウッドボイラー)」で冬を乗り切ろうとしている。

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 「南張メロン」は温暖な伊勢志摩の気候を利用し、1930年から志摩市浜島町で生産、皇室にも献上され、1983年には当時日本における農業者にとって最高の栄誉だった「朝日農業賞」(現在は「明日への環境賞」)を受賞するなど、「高級メロン」としてホテルやレストラン、ギフトなど全国から注文が寄せられる。ハウス栽培で通年出荷している。

 メロンのハウス栽培には温度管理が重要で、昼夜問わず温室内の温度を20度~30度にキープする必要がある。そのため、気温が20度以下になる冬場の夜には水を温めてパイプを通しハウス内を暖める「温湯循環方式」で適温管理しなければならない。

 同農園では2006年まで重油を燃料とする重油ボイラーで温度管理をしていたが、重油価格が2倍になり、さらに上昇する可能性もあったので、その年の12月に「まきボイラー」と併用できるように500万円を設備投資した。

 川口さんは「これだけ油の値段が上がってくるとメロン農家にとって死活問題。商品価格に転嫁できればいいが、できないので何とか努力しなければいけない。当初『まきボイラー』に500万円もかけるなんておかしい―と周りの人は心配して否定的な意見ばかりだったが、さらに油が上がった今ではみんな(設備投資を)認めてくれている。今年は『重油ゼロ』を目指すつもり」と話す。

 「まきボイラー」を設置した竹沢産業(愛知県豊橋市)の谷山さんは「全国的に栽培農家は原油高の影響を受け苦しんでいる。今までの重油ボイラーから、廃油を使用できる廃油ボイラーの注文や問い合わせが増加傾向にある。「まき」についても関心が高まっているが、弊社では設置の際に安定できる代替燃料(廃油、まきなど)がその地域にあるかどうかを確認した上で最適な設備を提案している。食品メーカーが集中する地域からは天ぷら油の廃油が、船舶産業が集中する地域からは船舶廃油、林業が盛んな地域からは間伐材や木切れなど、地域によってもさまざま。川口さんの場合は廃材の安定供給が可能とわかったため「まきボイラー」を設置した。原油価格の下落が見られないようなら、さらに廃油やまきボイラーへの関心も高まるだろう」と説明する。

「南張メロン」をLPGA選手ウェルカムフルーツに(伊勢志摩経済新聞)竹沢産業

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