伊勢・二見興玉神社(伊勢市二見町)で6月21日、「夏至祭」が行われた。マスクを着けた多くの人が夫婦岩(めおといわ)の間から朝日と富士山が重なる姿をひと目見ようと集まった。
【その他の画像】伊勢・二見興玉神社夫婦岩から朝日 鳳凰のような雲
天気は晴れ、辺りが明るくなり始めた4時ごろ、光岳(てかりだけ)や塩見岳、赤石岳などの南アルプスの山々の見える北東方面の空が赤く染まり、稜線がくっきりシルエットとして映し出された。富士山の方角には雲があり、富士山を見ることはできない。この日の日の出時刻は4時40分。同神社の富士見橋からは名称の通り、夫婦岩の真ん中(男岩と女岩を結ぶ大しめ縄の中)に富士山を望むことができる。
4時40分を過ぎたころ、カメラマンがシャッターに手を掛け撮影の準備をしようと構えるが、日の出時間には朝日も富士山も現れなかった。しばらく待つと、夫婦岩の上空に鳳凰(ほうおう)や、フェニックスのような形をした雲が現れた。朝日が出ていれば、富士山の左肩から光を差し、頂上付近をかすめるようにして昇っていく。
夏至の日の出を夫婦岩の間から撮影しようと早朝から三脚を立てて準備をしていたカメラマンは「願いはかなわなかったが、鳳凰が飛び立つようなとても美しい景色に遭遇できて、来た甲斐があった」とほほ笑む。三重県在住の女性は「早くコロナが収束しますようにとお祈りした」と話す。
毎年「夏至祭」には、白装束、ふんどし姿の崇敬者らが夫婦岩の前の海に入ってみそぎを行うが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に続き2年連続で中止され、祭典だけが執り行われた。