今年3月31日に惜しまれながら閉園した「志摩マリンランド」(志摩市阿児町)のフンボルトペンギン4羽(雄2羽、雌2羽)が9月23日の秋分の日に、鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽)に引っ越しすることになった。
1970(昭和45)年3月18日開業で、51年間伊勢志摩の観光産業を推進し、水族館における展示・飼育の方法などにおいて大きな功績を残した同館。営業中はマンボウやペンギン、回遊水槽での海女の餌やり実演などが人気の水族館で、上皇・上皇后両陛下も3回来館された。51年間で約1270万人の来館者があった。
現在同館のホームページはまだアクティブになっているものの、生き物を紹介していたページのリンクはなく、「志摩マリンランドは、2021年3月31日をもって営業を休止しました。永年にわたりご愛顧いただき、誠にありがとうございました。」とテキスト情報1ページが掲載されているだけになっている。職員は新たな転職先で活躍し、飼育展示していた生き物は、国内の水族館などに引き取られ、「第二の人生」を送っている。
営業中の同館にはフンボルトペンギン29羽、ケープペンギン19羽の計48羽がいたが、今回の4羽が引っ越しすることでフンボルトペンギン16羽、ケープペンギン5羽の21羽になるが、残りのペンギンも全て10月中に移送されるという。
引っ越しは、夏場の暑い時期は体力的な負担が掛かるため、この日になった。フンボルトペンギンは国際希少野生動植物種に当たるため、引越しに際し、環境省の定める「希少野生動植物種の個体等の譲渡し等許可申請・協議」の手続きを踏んでいる。
鳥羽水族館へは、アメリカカブトガニなどこれまでに順次魚類を中心に計67種1576点の生き物が移送され、そのほか多足ダコの標本などが渡った。
同館館長の里中知之さんは「寂しくないかと言われると寂しい気持ちもあるが、まずはひと安心。一日も早く環境に慣れて人気者になってもらえれば」とほほ笑む。
鳥羽水族館担当者は、「ペンギンたちは、引っ越し後しばらくはバックヤードで飼育し、体調を見極めた上、展示を開始したい」と話す。