志摩市在住の写真家・泊正徳さんが11月12日、上下に2つ重なる富士山の撮影に成功した。
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写真は早朝6時8分、鳥羽市相差町の千鳥ヶ浜から撮影したもの。日本最高峰の霊山・富士山が水平線の上に浮かび、さらにその上に雲がかかり、その雲が富士山のように裾野まで広がっている様子を写した。
伊勢志摩から標高3776メートルの富士山までは直線距離で200キロ以上。1707(宝永4)年の噴火でできた標高2693メートルの宝永山がちょうど水平線のすぐ上、右側に見ることができるので、標高2300メートル以上の山頂部分が水平線から観測できる。日中はほとんど観測できないが、早朝の条件がそろったときにだけ出現する。昼間に観測できるのは年に数回あるかないか。
泊さんは、伊勢志摩から撮影した富士山ばかりを展示する「伊勢志摩から拝(み)る富士山」写真展を11月25日~12月20日の期間、大王美術ギャラリー(志摩市大王町、営業時間=9時~17時、火曜・水曜休館)で開く準備の真っ最中。
泊さんは「現場に着くと富士山の上に雲があったので、見えるかどうか心配だった。しばらくしていると雲の形が変化していき、ちょうど富士山と同じ形になったので夢中でシャッターを切った。水平線のすぐ上の裾野だけ見えているのが本物の富士山でその上は雲。あまりにもよく似ているので間違うほど。静岡側(伊勢志摩)から見る宝永山は右側に見えるが、よく見ると水平線の上にぽっこりと膨らんだ宝永山もしっかり写っている。さらに富士山の形をした雲の左側には宝永山のような出っ張りが見えるので山梨側から見た富士山のようだった」と話す。
泊さんは「暗くて分からなかったがおそらく5時過ぎから富士山の上に笠(かさ)を被ったようにとどまる笠雲が出現していたのだと思う。現場を離れる6時30分ごろまで笠雲が見えていた。以前も伊勢志摩から富士山の上の笠雲は撮影しているが、こんなに大きなものは初めて。一度に静岡側と山梨側からの富士山が上下2つ重なるなんて…」とほほ笑む。
「静岡、山梨からの富士山はやはり美しい。直線距離で200キロ以上離れ、海抜ゼロメートルの陸地からで、水平線の上に浮かんだように見える富士山を撮影できるのは鳥羽市と志摩市の一部の海岸からしかない。天気のいい早朝が狙い目なので伊勢志摩に宿泊して撮影に来てもらえれば」と呼び掛ける。