二見興玉神社(伊勢市二見町江)の特殊神事「藻刈神事(もかりしんじ)」が5月29日、夫婦(めおと)岩の沖合の船の上で行われた。
【その他の画像】二見興玉神社の宮司が船に乗ってアマモを刈り取る神事
夫婦岩の沖合700メートル先の海中に沈む猿田彦大神ゆかりの興玉神石(おきたましんせき)に生えるアマモ「無垢塩草(むくしおぐさ)」を刈り取る同神事。5月21日に行う予定だったが、悪天候のため本殿祭だけを執り行い、アマモを刈り取る「神石祭」はこの日に延期していた。
この日は風も波もなく穏やかな一日で快晴。早朝には直線距離で200キロ離れる富士山も見ることができた。金子清郎宮司と尚孝之禰宜(ねぎ)と巫女(みこ)ら4人が、「澳魂祭禮(おきたまさいれい)」と書かれたのぼりを立て、しめ縄を張り巡らせ、祭壇を設けた和船に乗り、興玉神石のある海上を船で3周し、2拝2拍手1拝の後、神酒、御饌(みけ)を海中にささげ、アマモを丁寧に手鎌で刈り取った。
刈り取ったアマモは神前に奉納した後、天日干しし乾燥させ、同神社の祓具(はらいのぐ)「無垢塩大麻(たいま)」や授与品の不浄祓(ふじょうはらい)守り「無垢塩草」(初穂料=300円)になる。
興玉神石は、東西約240メートル、南北約120メートル、周囲約960メートル、高さ約7メートルの楕円形をした平岩で、1854(安政元)年12月23・24日(旧暦11月3・4日)に発生した安政の大地震「東海・南海地震」(32時間後に連続発生、推定マグニチュード=8.4)で、完全に海の中に沈んだという。