伊勢神宮で最も重要な祭典とされる「神嘗祭(かんなめさい)」が10月15日から25日まで、伊勢神宮外宮(げくう)、内宮(ないくう)、別宮ほか125社で執り行われている。
今年の初穂(=新穀)を神にささげ、五穀豊穣(ほうじょう)を感謝する同祭。「神嘗正月」「神宮の正月」ともいわれ、6月と12月に執り行われる「月次祭(つきなみさい)」と合わせて三節祭と呼ぶ。
今月15日から17日までの3日間にわたり、内宮と外宮でそれぞれ、22時から「由貴夕大御饌祭(ゆきのゆうべのおおみけさい)」、深夜2時から「由貴朝大御饌祭(ゆきのあしたのおおみけさい)」、12時から「奉幣(ほうへい)」を行った。「由貴夕大御饌」「由貴朝大御饌」は、アワビや伊勢エビなど約30品目が並ぶ夕食と朝食。「由貴」とは、この上なく貴いという意味。「奉幣」は勅使により天皇陛下からの幣帛(へいはく)を奉納することをいう。
両宮の「奉幣」の後18時ごろから執り行われる「御神楽(みかぐら)」は、1889(明治22)年の第57回式年遷宮の全ての行事が終わった後に、明治天皇のご発意により、宮中の楽師による御神楽の奉納が行われた。それがきっかけとなり、神宮楽師が宮中の楽師に演奏を習い、神嘗祭にも奉納されるようになった。奉納演奏は22時ごろまで続く。
毎年、伊勢市民が行う「初穂曳(ひ)き」では、伊勢神宮に全国から集まった初穂を奉納。15日には、大きな車輪の付いた木製の台車「奉曳車(ほうえいしゃ)」に初穂を載せ、2本の白い綱で外宮まで引く「陸曳(おかびき)」を、16日には初穂をそりに載せ五十鈴川を内宮まで引く「川曳(かわびき)」を行う。「初穂曳」は、新型コロナウイルス感染症拡大防止による2年間の中止を経て今年は「陸曳」だけが3年ぶりに行われ、にぎわいを見せた。