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伊勢神宮の博物館で特別展「生きる正倉院」開催 室町時代の「玉纏御太刀」も

伊勢神宮の博物館で特別展「生きる正倉院」開催 「螺鈿紫檀五弦琵琶」の裏面の装飾を見入る観覧者(撮影=岩咲滋雨)

伊勢神宮の博物館で特別展「生きる正倉院」開催 「螺鈿紫檀五弦琵琶」の裏面の装飾を見入る観覧者(撮影=岩咲滋雨)

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 伊勢神宮の博物館3館「神宮徴古館(ちょうこかん)」「神宮美術館」(以上伊勢市神田久志本町)「式年遷宮記念せんぐう館」(同市豊川町)で現在、特別展「生きる正倉院 伊勢神宮と正倉院が紡ぐもの」が開催されている。

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 同展は、宮内庁正倉院事務所(奈良県奈良市)協力のもと、忠実に再現して作られた正倉院宝物の再現模造品と、20年ごとに社殿を新しく建て替える式年遷宮において新調する伊勢神宮の神宝など計169点を観覧することができる。2020年7月から今年6月まで奈良、沖縄、北海道、東京など8カ所を巡回し人気を集めた、天皇陛下御即位記念の特別展「御大典記念 よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―」で展示した再現模造品も多く展示する。秋篠宮ご夫妻の長男・悠仁(ひさひと)さまが10月1日に同展をご視察されたことでも注目を集めた。

 正倉院宝物とは、東大寺の正倉院正倉に伝えられた約9000件におよぶ品々で、聖武天皇ゆかりの品をはじめ、その多くが奈良時代の作で、調度品、楽器、武器・武具、染織品などで、毎年秋に奈良で開催される「正倉院展」で一部を展示している。正倉院宝物の模造品は、明治時代に開催された奈良博覧会を機に、修理と合わせて模造製作に取り組み、1972(昭和47)年から宝物の材料や技法、構造の忠実な再現に重点をおいて作られたもの。

 同展では、世界で唯一現存する5弦の琵琶「螺鈿紫檀五弦琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」や甲羅に北斗七星の文が刻まれている亀の形の容器「青斑石鼈合子(せいはんせきべっこうす)」などの正倉院の宝物の再現模造品、水晶や琥珀、瑠璃などの宝石や5色の玉などで装飾された「玉纏御太刀(たままきのおんたち)」、神宝唯一の楽器「鵄尾御琴(とびのおのおんこと)」など伊勢神宮の神宝を展示。

 神宮司庁広報室の小川倫太郎さんは「1929(昭和4)年の第58回式年遷宮で作られた神宮神宝を中心に展示している。昭和4年は、神宮神宝を室町・平安時代に作られていた本来の形に近づけようと検証した時で、正倉院の再現模造製作で培われた知識や技術が反映されたものでもある。神宮神宝の代表的な『玉纏御太刀』に関しては、藤ノ木古墳(奈良県生駒郡)から出土した『飾り大刀』の復元品と正倉院宝物の再現模造品『金銀鈿荘唐大刀(きんぎんでんかざりのからたち)』を並べ、類似するところや違いがわかるように展示した。『せんぐう館』には『玉纏御太刀』の調整工程品を展示し製造過程などを詳しく見ることができ、『神宮徴古館』の『いにしえの至宝』コーナーには、1869(明治2)年に内宮(ないくう)敷地から出土した国重要文化財指定の古神宝『玉纏横刀』を展示した。昭和4年に作られた『玉纏御太刀』と合わせて見比べることができる。特別展の前期と後期で一部展示品を入れ替えたので、『玉纏横刀』は、今は室町時代のものを展示する(前期は鎌倉時代)。この機会に多くの人に観覧してもらえれば」と話す。

 開館時間は9時~16時30分。木曜休館(祝日の場合はその翌平日、11月3日は開館)。3館共通観覧券は、大人=700円、小・中学生=200円。観覧券は切り離し式の3館チケットが付き、会期中であればいつでも観覧可能。11月9日まで。

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