若手落語家4人でつくる「ちょちょら組」の落語会「やまだ寄席」が11月13日、伊勢神宮外宮前の「風餐亭(ふうさんてい)」(伊勢市本町)で行われた。
所属している落語団体の枠を超え結成された「ちょちょら組」。メンバーの橘家文吾さん(落語協会)は古典落語を、柳亭信楽さん(落語芸術協会)は新作落語を、三遊亭ぽん太さん(五代目円楽一門会)は珍品落語を、立川かしめさん(落語立川流)は改作落語をそれぞれ得意とする。
4人は、伊勢市がコロナ禍で落ち込んだ観光業を盛り上げ、新しい旅の形としての「ワーケーション(ワーク+バケーション)」の試験的な取り組みとして、文化・芸術分野のプロのクリエーターを無料招待し市内に滞在して創作活動に取り組んでもらう「クリエイターズワーケーション促進事業」に応募。同事業には1271件の応募があり、ちょちょら組の4人を含む92組130人が招待された。本来は、昨年2月に滞在を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大で延期され、この時期になった。
今回の落語会は、4人が1週間滞在した最終日に行ったもので、宿泊先となった山田館での話や、電動アシスト自転車を借り、伊勢神宮内宮・外宮や二見興玉神社、猿田彦神社、忍者キングダムなどを巡ったエピソードなどをトークで披露、それぞれの落語の中でも、多くの伊勢ネタを織り交ぜ笑いを取っていた。
この日の演目は、立川かしめさんが「まんじゅう怖い 伊勢バージョン」、三遊亭ぽん太さんが「死ぬなら今」、柳亭信楽さんが「出生の秘密」、橘家文吾さんが「御神酒徳利(おみきどっくり)」(出演順)。
文吾さんは「1週間ずっと4人でいることなんて今までなかったので、伊勢で何が生まれたかと聞かれたら一番は友情が生まれた。お互いの長所や短所も分かり、とても良い時間が過ごせた。4人で自転車をこいでいる時は学生時代に戻ったような感覚だった。伊勢にいればいるほど伊勢が好きになった。特に、飲食店のどこに入っても、一言声をかけてくれて、その一言がとても心地よく、人を喜ばせるということはこういうことだと学ばせてもらった」と話す。
ぽん太さんは「例えば『いっせーのせ』『(指輪を手にして)伊勢リングーに参拝しました』など、『伊勢の駄洒落125選』を4人で考え生み出した。125は伊勢神宮の125社に掛けた」、信楽さんは「伊勢ではネタ起こしや稽古にも専念できた。スーパー銭湯の『みたすの湯』で大声を出して稽古して周りの人に変な顔をされた」、かしめさんは「今日の演目の『まんじゅう怖い』では伊勢の地元の人なら誰もが知っている『ぱんじゅう』についても実際に食べて話を聞き取り入れた。居酒屋の『一月家』のお会計時のそろばんはいまだに謎…。機会があればまた4人で伊勢に来たい」とも。
「やまだ寄席」は、伊勢市商店街連合会が運営する市民大学「伊勢やまだ大学」のサークル活動「チームイセアソビ」が2018年から主催する活動で公演は5回目。