伊勢神宮外宮(げくう)、内宮(ないくう)で11月23日、農作物の収穫を祝う新嘗祭(にいなめさい)が執り行われた。
その年の新穀を神様に奉納し、五穀豊穣(ほうじょう)に感謝し、国家安泰、国民の繁栄を祈る新嘗祭。宮中祭祀(さいし)の中で最も重要な祭典で、飛鳥時代から受け継がれているとされる。宮中では天皇陛下が神嘉殿(しんかでん)で新穀を皇祖はじめ神々に供え、天皇陛下自身も召し上がる。
伊勢神宮では、10月の神嘗祭(かんなめさい)、6月・12月の月次祭(つきなみさい)を「三節祭」、2月の祈年祭(きねんさい)、11月の新嘗祭を加え「五大祭」と呼ぶ。伊勢神宮では神嘗祭で新穀を奉納するため、新嘗祭は執り行われていなかったが、1872(明治5)年から天皇陛下のお使いである勅使が参向し、以後行われるようになった。
この日は、早朝4時から神饌(しんせん)を神様に供える「大御饌(おおみけ)の儀」が、7時から天皇陛下より贈られた幣帛(へいはく)を奉献する「奉幣の儀」が外宮で、続いて内宮で11時と14時にそれぞれ同様の祭典が行われた。
朝から雨が降り、黒田清子神宮祭主を始めとする神職らは、和傘を差しながら参進すると、参道に居合わせた参拝客は立ち止まりその様子を見守った。正宮の内玉垣には全国から奉納された初穂=懸税(かけちから)が掛けられている。新嘗祭は11月29日まで、伊勢神宮125社全ての宮で執り行われる。