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志摩の「天の岩戸」で例大祭 真珠王・御木本幸吉翁も事業成功祈願で通う

志摩の「天の岩戸」で例大祭 真珠王・御木本幸吉翁も事業成功祈願で通う(撮影=岩咲滋雨)

志摩の「天の岩戸」で例大祭 真珠王・御木本幸吉翁も事業成功祈願で通う(撮影=岩咲滋雨)

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 日本神話「岩戸伝説」に登場する志摩市の「天の岩戸」(志摩市磯部町)で11月23日、例大祭が執り行われた。

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 「岩戸伝説」は、弟のスサノオのいたずらを憂い、姉のアマテラスが天の岩戸に引きこもってしまったことから、国中が真っ暗闇になり、神々が話し合い問題を解決しようと試みる。オモイカネが知恵を出し、アメノコヤネが祝詞(のりと)を上げ、アメノウズメが岩戸の前で踊り、神々が大笑いする。不思議に思ったアマテラスが岩戸から顔を出すと、イシコリドメが作った八咫鏡(やたのかがみ)をアメノコヤネとフトダマがアマテラスに差し出し、鏡に映った自分に驚いた瞬間、アメノタヂカラオが岩戸を引き開け岩屋から救出するという、みんなが力を合わせて笑いの力によって世を明るくする救出大作戦だ。

 ご神体の洞穴から湧き出る水は青竹を伝って、落差約3メートルの禊(みそぎ)滝に流れる。近年、多くの人が水を汲みに訪れ、約10年前から更衣室を完備すると禊滝には信者が白衣姿で禊を行えるようになった。

 水の神として知られる泣沢女神(ナキサワメノカミ)と美都波女神(ミツハノメノカミ)、道案内の神・猿田彦大神(サルタヒコノオオカミ)を祭る「天の岩戸」。毎年11月23日の新嘗祭(にいなめさい)・勤労感謝の日に例大祭を行っている。

 神職の橋本一敏さんは「11月23日は新嘗祭で、今晩天皇陛下が新米をいただき、新穀に感謝をする。全国の神社でも同様の祭典が執り行われている。コロナ禍で祭典後の直会(なおらい)も中止せざるを得ない状況になってしまった。生活が一変し各自がそれぞれで自分自身に向き合い、大切にして病気から守ってもらえれば。一日も早くコロナ禍が終息することを願いたい」とあいさつした。

 例年祭典終了後、直会を境内で行っているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、マスク姿で参列者に餅を配っただけに留めた。

 東京から訪れた女性は「たまたま偶然、例大祭の日にお参りさせていただき、とてもうれしい。地元の人たちが祭りを継承してくれているおかげで私たちもこうしてお参りさせていただけることができる。とてもありがたい。御木本幸吉さん縁の場所であることも知ることができた」と話す。

 「天の岩戸」は、伊勢神宮の森に守られた山裾にあり、そこから湧き出る水は「恵利原の水穴(天の岩戸)」として1985(昭和60)年に環境省「名水百選」に選ばれた。「ミキモト」の名で知られる真珠王・御木本幸吉は、真珠養殖事業の成功を祈って「天の岩戸」への参拝を欠かさず、参道の整備にも尽力した。境内には1931(昭和6)年3月に御木本が植えたクスノキが空高く伸びる。1830(天保元)年創業のうなぎ料理店「川うめ」(同)には、伊雑宮・和合山・天の岩戸の三宮参りをする御木本のお伴をしていた同店先々代が、御木本から代参のためにもらった羽織が残る。「天の岩戸」入り口には、樹齢360年以上のオオシマザクラ「岩戸桜」の一本桜が毎年春に純白の花を咲かせている。

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