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伊勢の山中の「中山美術館」が2周年 コロナ禍に国内外から1500人が来館

伊勢の山中の「中山美術館」が2周年 コロナ禍に国内外から1500人が来館(写真提供=イベント主催者)

伊勢の山中の「中山美術館」が2周年 コロナ禍に国内外から1500人が来館(写真提供=イベント主催者)

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 伊勢神宮の森の南方の山中にある中山美術館(伊勢市横輪町)がコロナ禍に国内外から1500人以上の人が来館している。12月22日、開館2周年を迎えた。

【その他の画像】伊勢市横輪町にある「中山美術館」

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 冬至のこの日は、龍神に感謝と祈りを捧げるイベント「冬至と龍のまつり」が行われ、出張餅つき「祝餅 弥栄(いやさか)」による餅つきのほか、ダンサー、ギタリストなどさまざまなアーティストと共に約50人が集った。ハンドパンやディジュリドゥなどの楽器を使う音楽家の安慶(あげ)さんとマッコウクジラの体内で作られる竜涎香(りゅうぜんこう)を主にしたフレグランスの調香・販売などを行う「リベレーションブランド『bariberry(バリバリー)』」(名古屋市)代表の吉田恭隆さん、おしゃべりで癒す人「めぐの部屋」を運営するくらやめぐみさんが主催した。

 2019年末から騒がれ今も世界中にまん延する新型コロナウイルス。同館はそのコロナ禍の2020年12月21日の冬至の日に開館した。館長は2014(平成26)年にノンジャンルで本格派音楽を提供する音楽レーベル「5bit records(ファイブビットレコーズ)」(伊勢市)を設立した中山大樹さん。これまでCD、レコード、デジタル配信など12作品をリリースする。

 同館は、音楽を中心にさまざまなアーティストたちが生み出したクリエイティブと共にその場を創り、その場に集まった人たちの心が豊かになることを通して、場全体をアート作品と捉えようと開館。2年間に約50回のイベントが開かれ、国内は北海道から沖縄までの全国から、海外はアフリカ、フランス、アメリカ、イギリスなどから約1500人が訪れた。

 中山館長は「不要不急の外出、3密(密接・密閉・密集)を避けよう、などと呼びかける政府。コロナパンデミックで、これまでの人間らしい生活が送れなくなってしまった。音楽は生活の一部なのに、全てのイベントが中止になった。何かがおかしいと思い、人間らしい生活ができないで苦しんでいる人たちに、自然豊かなここを開放した。すると、同じ思いを持った人たちが呼び掛け合い、次から次に訪れた」と振り返る。

 中山館長は「子どもたちもたくさんやって来た。自粛疲れで自殺を考えたという人はここに来て、心が解放され元に戻り前向きになって帰っていった。美術館の2階で出産した家族も喜んで第2の故郷だと言ってくれた。見えないものこそ大切だということを再認識して元気を取り戻してくれる。そういう『場』を作りたいと思い開館し、国内外から多くの人が来てくれた。ここに来てコロナにかかった人は誰もいない。中山美術館を開館して良かった」と話す。

 安慶さんは「常々、人が望むことよりも、その『場』が望むことのようにしか物事は成らないのではないかと思っている。中山美術館という『場』には感謝しかない」。吉田さんは「これからの時代、ああいう『場』と人のつながりがとても大切だと思う。これからも館長の活動を応援していきたい」とそれぞれコメントを寄せる。

 吉田さんは、今年の春に同館の庭に咲く満開の横輪桜を見て、そのサクラの開花エネルギーを香りで表現しようと竜涎香を入れたオリジナルフレグランス「開花オイル」を完成させた。吉田さんは「『開花オイル』はこの『場』が生み出した香り。中山美術館がなければ生まれなかった」と説明する。中山館長は「ここ横輪町に住み、昨年10月に子どもが生まれ家族が増えた。1歳になったその子にとってここは、生まれ故郷になっている。新しいものが生み出されるこの『場』がいつまでもあり続けるように祈りたい」とも。

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