初詣に訪れる人たちでにぎわう伊勢神宮の内宮(ないくう)に、「白いウサギ」が現れた。
「白いウサギ」は、内宮正宮(しょうぐう)の石垣の中に、耳を立て左向きでひっそりと隠れているように座っているが、初詣に訪れる人たちにはまだ気付かれていない。よく見ると、石に着いたコケや植物の葉が作った模様だ。
昨年12月30日、SNSに模様が見られるという投稿があった。「伊勢神宮内宮さんに今、白いウサギが出没しています」と投稿した人に確認すると、模様の存在は伊勢市観光協会が無料で伊勢神宮を案内するガイドボランティアの男性から聞いたという。
ガイドボランティアの男性は「何年も伊勢神宮を案内してきたが、気付かなかった。見つけたのは、来年の干支(えと)がうさぎ年だと意識するようになってからなので、昨年の12月に入ってから。恐らくコケが枯れたり茂ったりすると(白いウサギは)いなくなる可能性が高いので、今のうちに探してみてほしい」と話す。実際にインターネットの画像検索でも現地の古い画像に「白いウサギ」は確認できない。
SNSに投稿した人は「場所のヒントは籾種(もみだね)石のそば。伊勢神宮に何度も参拝している人なら写真を見ればすぐ分かると思うが、逃げるといけないので、そっと見に行ってほしい」と呼びかける。
ガイドボランティアの男性によると籾種石は、現在正宮が立つ西の御敷地(みしきち)の石垣の角(西南隅)にある高さ約4メートルの岩で、天候不良で作物が取れなくて食糧がなかった江戸時代に、現在の伊勢市楠部町の人たちが籾種まで食べ尽くすほど苦労してこの石を運んで奉納した由来から籾種石といわれるようになったという。