日本神話「岩戸伝説」に登場する志摩市の「天の岩戸」(磯部町)近くの樹齢360年以上となるオオシマザクラ「岩戸桜」が満開となっている。
オオシマザクラは、純白の花と同時に緑の若葉を伴って咲く。伊豆大島(東京都大島町)を中心に伊豆諸島に多く自生する日本固有種。同地が志摩の国から伊勢神宮までの旧街道沿いであることなどから、江戸初期に参詣者によって種もしくは苗が持ち込まれて育ったのではと推定される。
「岩戸桜」は1本の木から大きく枝が分かれ威風堂々と里山に咲く。以前は目の前の水田が水鏡となりリフレクションが美しく、風のない早朝に多くのカメラマンが三脚を立てていた。一輪一輪をよく見ると雄しべが花弁のように変化し旗状になっているのも特徴の一つ。江戸中期の1797年に書かれた当時の観光ガイドブック「伊勢参宮名所図会」巻五の「家建(やたて)の茶屋」の挿絵にも描かれていることから、樹齢360年以上といわれている。1999(平成11)年12月24日に旧磯部町が天然記念物に指定した。
「岩戸伝説」は天照大御神(あまてらすおおみかみ)が「天の岩戸」に隠れて世の中が真っ暗になってしまったことを憂い、神々が話し合い協力し合いながら天照大御神を中から出す作戦を展開する日本神話。
3月20日時点では、ピンク色に大きく膨らむつぼみの中に純白の花が数輪咲いていただけだったが、暖かい日が続き22日には一気に花開いた。